空調機や電気設備などの大型機器を建物内に搬入するには、マシンハッチの存在が欠かせません。
しかし、ひとくちにマシンハッチと言っても、具体的にどのようなものなのか疑問に思う方もいると思います。
そこで今回の「C’Lab(シーラボ)」では、マシンハッチの概要や用途、設置時のポイントを詳しく解説します。
この記事を読むとマシンハッチの全容がよく分かるので、ぜひ参考にしてください。
マシンハッチとは?
マシンハッチとは、建物の中にエレベーターや階段では出し入れできない空調機などの大きな機器を搬入するために、地上部に設ける専用の開口部です。
扉のようなもので、大型機器を搬入するとき以外は閉鎖しておきます。
マシンハッチの素材はさまざまで、床や壁と一体化するものやステンレス製、アルミ製、スチール製などの多くの選択肢があります。
また、作業員の転落事故を防ぐために、転落防止チェーンなどが備えつけられているマシンハッチがほとんどです。
工場や研究所などの建築では、必ずしも大型機器の搬入後に屋根工事などの作業を進めるわけではありません。
多くの場合では、建物が完成してから大型機器を搬入したり据付(特定の場所に動かないようにしっかりと備えつけること)を行ったりします。
そのため、機器を搬入するための専用ルートが必要となるのです。
マシンハッチは、建物内や建物の地下にアクセスするための専用ルートであると言えます。
マシンハッチの使い道
マシンハッチは、通常時は基本的に使われることはありません。
使用されるタイミングは、大きな機器の搬入や搬出のときです。
そのため、マシンハッチが使われるのは、工場や研究所を建てたときや新たに立ち上げたとき、大規模な設備変更があった場合に限られます。
もちろん、マシンハッチから人が出入りすることも可能です。
しかし、マシンハッチは基本的に頑丈で非常に重い扉であるため、頻繁に開けたり閉めたりするのは一苦労でしょう。
ただし、マシンハッチの中には扉が軽量なものや、人の出入りのために小さな扉が設けられているものがあります。
そのような工夫がなされたマシンハッチの場合は、機器だけでなく人も容易に出入りできるでしょう。
また、地下にアクセスできるマシンハッチについては、一般的に階段などは備えつけられておらず、チェーンブロックやウインチを用いて機器を降ろします。
そのため、人がマシンハッチから地下に出入りするのは非常に難しいと言えます。
マシンハッチを建物に設置する際のポイント
ここでは、建物にマシンハッチを設置する場合に、確認しておきたい大切なポイントを2つご紹介します。
搬入する大型機器の寸法や重量の確認
マシンハッチは基本的には建物の一部であると認識されているため、研究所や工場などの建物設計時に、あわせて設計されます。
そのため、研究所や工場を建設するときには、建物の中にどのような機器を搬入する予定なのかを詳しくリストに挙げておく必要があります。
もちろん、リストアップの際には、機器の正確な寸法も調べておくことが不可欠です。
わざわざ建物にマシンハッチを設置しても、目的の大型機器を搬入できなければ意味がありません。
また、機器を地下に搬入するために使うマシンハッチについては、機器の重量の把握も必要です。
地下搬入のためのマシンハッチには、専用ウインチやチェーンブロック、機器を移動させるためのメンテナンスレールなどを取りつけます。
そのため、搬入する大型機器の正確な重量が必要なのです。
万が一、マシンハッチの耐荷重を超えた機器を搬入した場合は、大きな事故が発生する可能性もあります。
マシンハッチを設置する場所
また、マシンハッチを建物のどこに設置するかは、とても大切なポイントです。
屋外から建物の中に大型機器を運ぶための搬入口として使うマシンハッチの場合は、広いスペースを確保する必要があります。
一方、機器を地下へ搬入するために使用するマシンハッチの場合は、搬入経路への設置が必要です。
もし、マシンハッチの設置場所が通路であり、フォークリフトなどの車両が通る可能性があれば、マシンハッチの耐荷重も考慮しておく必要があるでしょう。
あとがき
この記事ではマシンハッチについて深掘りしました。
マシンハッチは、研究所や工場などの建物に、大きな機器を搬出入するために使用する建築設備です。
基本的には、建物自体の設計時に、マシンハッチについても同時に設計します。
設計の際には、搬入予定の機器について十分にリストアップし、機器のサイズや重量を正確に調べておくことが必要です。
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