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PC(プレストレスト・コンクリート)とは?RCとの違いも丁寧に解説

建築コラム

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PC(プレストレスト・コンクリート)とは?

コンクリートのウィークポイントは、「ひっぱる力」に弱いこと。
しかし、その弱点を克服したコンクリートがあります。

その名もPC(プレストレスト・コンクリート)です。

今回は、そんなPCについて分かりやすく解説します。
最後まで読むことで、PCの用途やRCとの違い、プレストレス導入の2大方式についての理解が深まります。

PCとは?

PCとは、プレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete)の略称で、土木や建築の分野で使用します。

PCの定義は、端的に言うと「鉄筋より強い強度をもつ鋼材(PC鋼材)によって、プレストレスを与えられたコンクリート」となります。
プレストレスを与えられているので、PCは「ひっぱる力」に強いのです。

ところで、日常生活ではあまり馴染みのないプレストレスという言葉の意味をご存じですか?
プレストレスとは、荷重によってコンクリートに生まれる引張応力(ひっぱりに応じる力)を打ち消すために、計画的に与える圧縮応力(ひっぱりとは反対方向に力が加わって生じる力)です。

プレストレスは、コンクリートを強くする仕掛けであると言えます。

PCとRCの違い

ここでは、PCとRC(鉄筋コンクリート)の違いについて見てみましょう。

RCは、コンクリートに鉄筋を入れることでより頑丈にしたものです。
しかし、とても大きな力を加えられると、ひび割れが生じてしまいます。
そこで、RCよりもさらに頑強なコンクリートとして考え出されたものがPCなのです。

PCがRCと異なるポイントは以下の3点です。

・ひび割れの発生を防げる
・PCの方がRCよりも長持ちする
・部材の断面を小さくできる

ひび割れの発生防止や耐久性はもちろん、部材の断面を小さくできる分軽量であるということも、RCにはないPCの魅力です。

なお、PCと鋼部材に目を向けてみると、PCには塗装の必要がないため、ライフサイクルコスト(建物の生涯費用)に優れていることが分かります。

関連記事:ライフサイクルコスト(LCC)を考慮した建設計画の大切さ。コスト低減の方法を3つご紹介

PCはどのように作られる?

PCがRCよりもひび割れにくく、頑丈なコンクリートであることがお分かりいただけたかと思います。

では、そんなPCはどうやって作られるのでしょうか?
ここでは、PCがどう作られるのかを詳しくお伝えします。

コンクリートにプレストレスを与える方式は、大きく分けると「プレテンション方式」「ポストテンション方式」の2つです。

プレテンション方式

プレテンション方式は、コンクリートが固まる前にPC鋼材をひっぱる方式です。

一般に、プレテンション方式は工場で行われるため、大量生産が可能です。
また、コンクリートの配合といった品質管理が簡単で、高い品質のPCを作ることができます。

プレテンション方式では、PC鋼材はコンクリートの付着によって定着します。
そのため特別な定着具はいりません。

ただし、PC鋼材を緊張させるためにアバット(反力台)が必要であるため、現場での施工には不向きです。
また、PC鋼材の配置は直線的で、緊張力はあまり大きくできないため、大きな部材にも向いていません。

ポストテンション方式

ポストテンション方式は、コンクリートが固まった後にPC鋼材をひっぱる方式です。

コンクリートが固まってからその都度PC鋼材を定着させるため、ポストテンション方式は現場での施工に適しています。

また、PC鋼材の本数や配置、緊張力を自由に選ぶことができるため、大きな部材に向いています。
PC鋼材を曲線に配置することもできるので、さまざまな形状の部材の施工も可能です。

ただしポストテンション方式では、PC鋼材を定着させるための定着具が必要です。
また、PC鋼材の種類に応じたジャッキも欠かせません。

PCの用途とは?

PCが活用されている構造物を以下にご紹介します。

【建築】

建物の屋根や柱、梁などの部材にPCを使うことで、大きな空間を持たせることができます。
また、多様な形状にすることができるため、優れた意匠性を持っています。

【防災構造物】

自然環境から道路の安全性を確保する防災構造物にも、PCは使われています。
具体的には、雪の吹き溜まり・雪崩(なだれ)対策のスノーシェッドや、落石対策のロックシェッドなどが挙げられます。

【風力発電施設】

風力発電の基礎やタワーの部分に、高品質・高精度・高耐久性を持ったPCが使われています。

【防波堤】

岸壁に反射した波は、次の波と重なり大きな波になることがあります。
大きな波を防ぐために、PCを使った防波堤が設けられています。

【防音壁】

道路や鉄道の騒音を防ぐために設置される防音壁には、PC構造が用いられています。

【PC橋】

PC橋は代表的なPCの用途で、道路橋や鉄道橋、水路橋、歩道橋などがあります。
PCを用いると、RC橋よりも長い橋を作ることができ、橋脚数の削減が可能です。

【PC枕木】

枕木は、鉄道のレールの下に敷きならべられ、レールを支えています。
PC枕木は木製のそれと比べて耐久性に優れ、維持管理が容易です。

【PCボックスカルバート】


PCボックスカルバートは、道路トンネルや地中水路などに使われています。
大きな開口部を要し、開口部の上に強い土圧が作用する場合に、PCカルバートは必要不可欠です。

【PCタンク】

実は水密性や気密性にも優れるPC。
上水道や農業用水を貯めるタンクや、石炭や穀物を貯蔵するサイロ、液化ガスを貯めるタンクにもPC構造が採用されています。

【PC桟橋】

船が接岸する桟橋にも、高い耐久性と水密性を持ったPCが用いられています。

あとがき

「ひっぱる力」に強いPCは、RCと比べてひび割れが発生しにくく、耐久性や気密性、水密性にも優れています。
そのためPCは、建築物や橋、タンクなど非常に多くの構造物に採用されています。

PCはライフサイクルコスト(建物の生涯費用)にも優れているため、SDGsに注目が集まるこれからの時代だからこそ、積極的に活用したい資材の1つです。

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