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建設部材「スリーブ」とは?施工の流れやポイント、種類についても解説

建築コラム

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スリーブとは?

設備施工に欠かせない存在の「スリーブ」
スリーブ施工は建物の構造にかかわってくる重要な工程であるため、しっかりと理解しておく必要があります。

そこで今回は、スリーブの概要や種類、スリーブ施工の流れや留意点についてまとめました。
スリーブについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

建設用語のスリーブとは?

スリーブとは筒状の管です。
鉄筋コンクリートでつくられた壁や床などの構造体に、配管を通す穴を確保するために使われます。
また、配管を保護する役割も持っています。

スリーブの必要性

建物には、電気や空調、給排水などの配管が必要です。
配管が室内にあると、見た目だけではなく住環境にもよくない影響を及ぼします。

例えば、建物の2階にトイレがあるとします。トイレの汚水は建物の外に出さなければなりません。
そのため、配管を2階から1階まで通す必要があります。
階をまたいで配管を通すためには、配管に床を貫通させることになります。

建物のコンクリート打設時にスリーブを仕込めば、スリーブ内にはコンクリートが流れません。
空間が確保できているスリーブを利用することで、床などの構造体に配管を通せるのです。

スリーブの語源

スリーブの語源は英語の「sleeve」で、直訳は「配管」「袖(そで)」という意味です。
建設業界では英語をシンプルにカタカナ読みをして、スリーブと呼んでいます。
また、日本語ではスリーブを「梁(はり)貫通」「さや管」などと呼ぶこともあります。

スリーブの種類は3つ

スリーブの種類は以下の3つです。

・床スリーブ
・梁(はり)スリーブ
・地中梁(ちちゅうばり)スリーブ

1つずつ見ていきましょう。

床スリーブ

床スリーブは、縦方向の貫通孔(かんつうこう)をつくるために使用します。

1階と2階の間に配管を通したい場合などに採用されるのが、床スリーブです。
名称の通りに、床にスリーブを設けます。

梁(はり)スリーブ

梁スリーブは、横方向の貫通孔(かんつうこう)をつくるためのスリーブです。

もし建物の天井に十分なスペースがあり、そのスペースに配管を通せる場合には、梁スリーブは使いません。
しかし天井にスペースがない場合には、梁を貫通させるために梁スリーブを設けます。

地中梁(ちちゅうばり)スリーブ

地中梁とは、建物の基礎部分や地下を支える目的で地中に埋められた梁のことをいいます。

地中梁スリーブは、名称の通り地中梁を貫通させるためのスリーブで、基礎工事などで使われます。

スリーブ施工時の決まりごと

スリーブを安全に施工する際には、以下の3点に留意する必要があります。

補強筋が必須

スリーブを設置した部分には、補強筋の施工が必須です。

管であるスリーブの内部には、鉄筋がありません。スリーブの穴が空いている分、建物の強度を保つために鉄筋の補強が要ります。

大きなスリーブであればあるほど、必要な補強筋も大きくなります。

必ず梁(はり)の中央に施工

梁スリーブは梁の中央に設けます。

梁の中で、中央ではなく偏った位置にスリーブを施工した場合、建物の強度に影響が出てしまいます。
建物の構造が損なわれないように、スリーブ施工の位置に注意しましょう。

横並びの施工時は直径の平均値の3倍以上離す

スリーブを横に並べて施工するときは、スリーブ同士の間隔を離さなければなりません。

スリーブ同士の距離が近すぎると、穴がつながった大きな空間ができてしまいます。
大きな穴があることは、建物の構造上よくありません。

そのため、スリーブの平均直径の3倍以上離して施工します。

例えば、直径300mmのスリーブと直径100mmのスリーブの施工を行う場合。
2つのスリーブの直径の平均値は200mmです。
平均値の3倍以上の距離を要するため、600mm以上は離して2つのスリーブを設けることになります。

スリーブ施工の流れをご紹介

スリーブの基本的な情報についてお伝えしてきました。
ここからは、スリーブ施工の流れを6つのステップごとに説明します。

スリーブの選定、発注、搬入

はじめにスリーブを選定します。

例えば、スリーブ内に通したい配管が直径200mmの場合、スリーブの直径が100mmでは配管を通せません。スリーブは配管よりも大きいものである必要があります。

しかし、「大きければよし」というわけではありません。
スリーブが大きければその分、建物にコンクリートが打設される範囲は減ります。コンクリートが少なければ、建物の強度は落ちる可能性が出てきます。

また、スリーブの大きさに比例して、補強筋にかかるコストも大きくなります。
スリーブを設置できる場所も限られているため、「配管よりも大きければよい」ということにはなりません。
施工案件に合ったスリーブを選んで発注し、現場に搬入しましょう。

なお、現場にはスリーブを仮置きしておく場所が必要です。忘れずに資材置き場を確保しておきましょう。

スリーブ加工

スリーブの長さが、スラブ(鉄筋コンクリートの床など)の厚さより長いなど適切でない場合には、スリーブを加工します。

関連記事:スラブとは?建設に使われるスラブの役割・特徴・種類をシンプルに解説

また、物によっては、長さの調節が可能なスリーブもあります。
現場で長さを細かく調整したい場合には、長さの調節ができるスリーブがおすすめです。

墨出し作業

墨出しとは、目印をつけることです。
スリーブ施工での墨出し作業は、スリーブを取りつける場所の目印をつけることを指します。

数ミリの差異が大きな影響を及ぼしかねない建設業。スリーブの墨出し作業も正確に行わなければなりません。

スリーブの取りつけ

スリーブの設置場所が決まったら、取りつけを行います。

スリーブに固定用の金具を取りつけ、型枠に打ち込みます。
現場では多くの業者が作業をするため、取りつけが十分でない場合には誤って外れてしまうことも。
外れることのないようにしっかりと固定します。

アイバン

アイバンとは、工事の際に、その工事を行う職人とは別の職種の職人が立ち会うことです。
スリーブ施工におけるアイバンは、コンクリートの打設に立ち会うことをいいます。

コンクリート打設を担当する業者は、自身の作業に集中しています。
そのため、スリーブの位置がずれるなどのアクシデントが起こらないように、スリーブ施工業者が見守るのです。

スリーブの掘り起こし

スリーブ施工の最後のステップは、掘り起こしです。

コンクリート打設の終了後、スリーブの位置を施工図で確認し、掘り起こしを行います。
ハンマーなどを使ってスリーブを掘り起こすと、配管を通す穴を確保することができます。

あとがき

今回はスリーブについてお伝えしてきました。

スリーブは配管を通す穴を確保するための筒状の管で、配管を保護する役割もあります。
スリーブの種類は、床スリーブや梁スリーブ、地中梁スリーブの3種類です。
また、安全にスリーブ施工を行うためには、設置場所や補強筋などに留意する必要があります。

躯体工事を行う上で非常に重要なスリーブ施工。
安全で正確な建設作業のために、スリーブへの理解を深めましょう。

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