建設業許可は「取得すれば終わり」ではなく、更新手続きをする必要があります。
しかし、「更新期限はどれくらい?」「更新しなかったらどうなるの?」といったさまざまな疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、建設業許可の更新について詳しく解説します。
許可の有効期間や更新手続きの受付期間、必要な書類、よくある疑問などについて分かりやすくご紹介するので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
建設業許可の有効期間は?
建設業許可の有効期間は、許可日から5年間です。
許可日から5年目の許可日前日をもって、有効期間は満了となります。
例えば、2018(平成30)年2月1日が許可取得日の場合、5年後の2023(令和5)年1月31日までが有効期間です。
有効期間の最終日が「土・日・祝日」といった行政庁の休日である場合も、有効期間は5年間に変わりありません。
建設業許可の許可取得日が分からないときには、許可取得の際に送られてくる許可通知書や、業者票に有効期間が記載されています。参照しましょう。
建設業を継続して営む場合
有効期間後も継続して建設業を営む場合は、更新手続きが必要です。
期間満了の30日前までに、建設業許可の更新手続きを行いましょう。
更新手続きを行わない場合、有効期間の満了とともに建設業許可の効力は失われます。
建設業を継続して営まない場合
有効期間後に建設業を営まないケースでは、廃業届を必ず提出しましょう。
廃業届を出さない場合、役所の権限によって過去の実績といった内容がすべて抹消されます。
しかし、廃業届を提出していれば過去の実績が役所に残るため、将来的に再び建設業許可を取得する場合に証明することが可能です。
建設業許可|更新申請の受付期間
建設業許可の更新申請は、有効期間の30日前までに行う必要があります。
ただし、更新申請の受付期間は、都道府県や許可の種類によって異なります。
例えば東京都の場合は以下の通りです。
【東京都の場合】
・知事許可…有効期間満了日の2か月前~30日前まで
・大臣許可…有効期間満了日の3か月前~30日前まで
参考:建設業許可|東京都都市整備局
なお、大臣許可の更新で、更新とあわせて「一般建設業から特定建設業への変更」や「許可業種の追加」といった手続きを行うこともあるでしょう。
複数の手続きを同時に実施する場合は、建設業許可の有効期間が満了する6か月前までの申請が必要です。
審査中に追加書類を要求されることもあるため、期間に余裕を持って申請しましょう。
建設業許可|更新に必要な申請書と添付書類
建設業許可を更新する際に、必要となる申請書・添付書類を以下にまとめます。
様式番号 | 申請書・添付書類 | メモ |
---|---|---|
様式第1号 | 建設業許可申請書 | |
様式第1号別紙1 | 役員等の一覧表 | |
様式第1号別紙2 | 営業所一覧表 | |
様式第1号別紙3 | 収入印紙、証紙、登録免許税領収書または許可手数料領収証書貼り付け用紙 | 大臣許可の更新の場合に必要 |
様式第1号別紙4 | 専任技術者一覧表 | |
様式第4号 | 使用人数 | |
様式第6号 | 誓約書 | |
様式第7号 | 経営業務の管理責任者証明書 | 別綴じ、管理責任者ごとに作成 |
様式第7号別紙 | 経営業務の管理責任者の略歴書 | 別綴じ |
卒業証明書(専任技術者・国家資格者・監理技術者分) | ・専任技術者・国家資格者・監理技術者について、所定学科の卒業要件で証明する場合 ・別綴じ、前回申請時のコピーでOK |
|
資格証明書(専任技術者・国家資格者・監理技術者分) | ・専任技術者・国家資格者・監理技術者について、資格要件で証明する場合 ・別綴じ、前回申請時のコピーでOK |
|
様式第9号 | 実務経験証明書 | ・専任技術者について、実務経験要件で証明する場合 ・別綴じ、前回申請時のコピーでOK |
様式第10号 | 指導監督的実務経験証明書 | ・専任技術者について、指導監督的実務経験の要件で証明する場合 ・別綴じ、前回申請時のコピーでOK |
様式第11号 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 | 支店を設ける場合 |
様式第12号 | 許可申請者(法人の役員等、本人、法定代理人、法定代理人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書 | ・別綴じ ・様式第7号別紙に記載のある者は不要 |
様式第13号 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書 | 支店を設ける場合 |
様式第14号 | 株主(出資者)調書 | 法人のみ |
定款 | 法人のみ、前回申請時のコピーでOK | |
履歴事項全部証明書 | 法人のみ | |
様式第20号 | 営業の沿革 | |
様式第20号の2 | 所属建設業者団体 | |
様式第20号の3 | 健康保険等の加入状況 | |
様式第20号の4 | 主要取引金融機関名 |
なお、上記のほかにも、確認資料として以下の書類を求められる場合があります。
・営業所附近見取図
・国家資格者・監理技術者一覧表(様式第11号の2)
・監理技術者資格者証(前回申請時のコピーでOK)
・登記されていないことの証明書
・身分証明書
・前回申請時の建設業許可申請書のコピー
基本的に、新規申請の際に許可要件を満たして許可がなされているため、会社内容に大きな変更がない場合、更新手続きは新規申請よりも大変ではないでしょう。
建設業許可の更新に関するよくある疑問
ここでは、建設業許可を更新する際によく抱かれている2つの疑問について説明します。
30日前を過ぎたらどうなる?
建設業許可の有効期間満了の30日前までに更新申請ができなかった場合でも、有効期間内であれば更新申請は可能です。
しかし、有効期間から1日でも過ぎてしまった場合は、更新申請を受け付けてもらうことができません。
有効期間が満了となったと同時に、建設業許可は失効となります。
行政庁によっては、30日前を過ぎると始末書が必要になる地域もあるため、余計な労力は避けたいところです。
なお、更新申請と一緒に「許可業種の追加」などの手続きを実施した場合、費用や手間が少し減ります。
しかし、「許可業種の追加」などをあわせて手続きする場合は、有効期間の30日前までの申請が必須です。
地域によっては、「6か月前まで」に手続きを要するケースもあります。
必要とされる期間を過ぎると、更新申請をしたあとに「許可業種の追加」などを行うため、費用も手間もかかってしまいます。
やむを得ない状況を除いて、30日前までに更新手続きを行ったほうがよいでしょう。
有効期間の最終日が土・日・祝日などで行政庁の休日となっている場合、その前の営業日が実質的な更新申請期限となります。
カレンダーをチェックしておきましょう。
有効期間を過ぎたらどうなる?
万が一、有効期間内に更新申請ができなかった場合は、新規の建設業許可を再取得することになります。
一から許可を取得し直さなければなりません。
建設業許可の取り直しには、いくつかの問題が生じます。
余計な費用がかかる
新規の建設業許可を取り直すには、以下の法定費用がかかります。
・知事許可の場合…9万円
・大臣許可の場合…15万円
また、行政書士に代行してもらう場合は、さらに10~15万円程度の代行費用も必要です。
許可の更新にかかる費用よりも多い金額を支払うのは、非常にもったいない出費なのではないでしょうか。
財産要件を満たす必要がある
建設業許可の再取得には、一般建設業の財産要件を満たすことが求められます。
具体的には、以下のいずれかの要件です。
・500万円以上の預金残高があること
・決算書の貸借対照表の純資産が合計500万円以上であること
許可の更新申請だけの場合は、上記のような財産要件は必要ありません。
なぜかというと、決算届を毎年提出しているためです。
しかし新規申請では、財産要件を満たしているかどうかを改めて証明する必要があります。
もしも経営状況が悪化して500万円以上の預金残高または純資産がない場合、許可の再取得はできなくなるのです。
仕事の受注が制限される
建設業許可を再取得している間は、当然「建設業許可がない状態」となります。
そのため、許可を要する仕事は受注できません。
許可更新の審査中、許可は有効?
建設業許可の有効期間の30日前を経過してから更新申請した場合、審査期間中に許可の有効期間が満了になってしまいます。
しかし審査中の場合は、直ちに許可が失効となるわけではありません。
審査が終わるまでは「許可は有効」とみなされます。
審査が終了し無事に許可が更新されると、前の許可の有効期限日の翌日が、更新後の許可の「有効期間初日」となります。
あとがき
この記事では、建設業許可の更新について徹底的に解説しました。
有効期間内に更新ができない場合、余計な手間や費用がかかり、仕事にも大きな支障が出てしまいます。
許可の有効期間内に更新手続きを行えるよう、更新期限を厳守しましょう。