健康への意識が高まり、換気の重要性が叫ばれる近年。
室内の空気を入れ替える機能をもつ「ガラリ」への注目が高まっています。
この記事では、ガラリの働きやルーバーなどとの違いを解説します。
また、ガラリの種類や換気が重要な理由もご紹介するので、ぜひご一読ください。
目次
ガラリとは
ガラリとは、屋外と室内を隔てている壁・ドア・窓などに取りつける通気口のことを指し、外から屋内が見えることなく換気できるよう設けられます。
ガラリの働き
ガラリは、現代の住宅やビルにおける、空気の出入口として働きます。
昔ながらの建物には木材などの天然素材が使われていたので、気密性が低く、建物全体が呼吸をしているような状態を保てました。
空気の入れ換えが自然とできていたのです。
しかし、現在使われている建材や技術は、高い気密性と断熱性を持っています。
頑丈で快適な建物を建てられるように進化した一方、自然な換気はできなくなりました。
そのため、空気の出入口をあえて設け、ゆるやかに換気するためにガラリが取りつけられるようになったのです。
元来、ガラリは、多くの大型機器が設置された排熱を要する機械室などで使われていました。
室外から粉じんが侵入するのを防ぎ、機械室の機器を守りながら、常に空気を入れ替えるために活用されていたのです。
ガラリの仕組み
ガラリは、「羽根板」と呼ばれる幅の狭い板を、斜めかつ平行に何枚か並べた構造になっています。
外からは屋内の様子が見えないようにしながら、自然な換気ができる仕組みです。
板を斜めに並べたつくりは、雨風が屋内に入り込むことも防ぎます。
ガラリと、換気扇やルーバーとの違い
換気の設備としては、ガラリのほかに換気扇やルーバーが挙げられます。
3つの設備は似ていますが、それぞれ少しずつ異なります。
ガラリは自然に換気できる設備ですが、換気扇は機械の力で強制的に空気の入れ換えを行う装置です。
また、ガラリとルーバーは「空気の通り道を作る」という同じ役割を持っていて、構造もよく似ています。
ただし、2つの設備は使用箇所や用途によって呼び分けられています。
ガラリは、「壁などの開口部分にはめ込んで設置される設備そのもの」を指し、ルーバーは「羽根板を斜め平行に並べる手法そのもの」を指すことが多い傾向です。
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【羽根板の形状・設置場所・機能別】ガラリの種類
一口にガラリと言っても、羽根板の形や取りつける場所などによって種類はさまざまです。
ここでは、ガラリの多種多様な種類について、羽根板の形状や設置場所、機能に分けてご紹介します。
【羽根板の形状別】ガラリの種類
ガラリに用いられる羽根板は、空気の通り道を作るための細長い板です。
羽根板の形状はバリエーションに富んでいます。
H型
羽根板が横向きに取りつけられたもので、多くのガラリに採用されています。
V型
縦向きに羽根板が取りつけられたタイプです。
「縦型」と呼ばれることもあります。
パンチング型
金属製の一枚板に、いくつもの穴が開けられたタイプです。
ハチの巣のような見た目をしています。
メッシュ型
羽根板ではなく、金網などが取りつけられたものです。
片流れ型
斜め横の向きに羽根板を取りつけるので、片側が高くなっています。
フラッティー型
筒状部分の一番外側が深い溝になっていて、内側の溝部分に穴が開いています。
溝部分の穴から空気の入れ換えが行われます。
山型
中央に向かい羽根が高くなっているものです。
【設置場所別】ガラリの種類
ガラリは設置する場所によって、以下の3種類に分けられます。
ドアガラリ
ドアの一部に取りつけられたガラリです。
よくあるドアガラリは、ドアの下部に取りつけられたものです。
ドアに占めるガラリの面積や、ガラリの材質には、さまざまなバリエーションがあります。
換気ガラリ
建物の外壁などにはめ込まれたガラリです。
屋内外の空気の入れ換えを担います。
ガラリ戸
扉の全体がガラリになっているものを指します。
【機能別】ガラリの種類
便利な機能を持ったガラリをいくつか挙げます。
可動式ガラリ
空気の出入り量を調整できるガラリです。
羽根板を動かすタイプと、2枚の固定されたガラリを組み合わせ、上下させて調整するタイプがあります。
フード付きガラリ
強い雨や横なぐりの雨でも吹き込まないように、カバーが付けられているガラリです。
特に、壁に設置された小型のガラリで用いられることが多い傾向です。
天井裏の換気のために、屋上部分に上向きで設置されることもあります。
なお、フードには丸型やU字型などの複数の種類が生み出されています。
ルームガラリ
室内の窓際に近い床に取りつけ、外とつながっているガラリです。
主に室内の換気や、床暖房の余熱放出に使われています。
部屋の雰囲気となじみやすいように、床の色に合わせた色のプラスチックカバーが使われることもよくあります。
フィルター付きガラリ
ガラリ部分にフィルターを付け、外気に含まれる細かいチリや花粉を除去して換気できるガラリです。
フィルターには汚れがたまりやすいため、定期的な掃除や交換が必要です。
ダンパー付きガラリ
必要に応じて空気の出入りを止められるガラリです。
火災時に、高温を感知して空気を遮断する防火タイプや、換気扇が空気を取り込む圧力で作動する逆風防止タイプなどがあります。
建物の風通しをよくするガラリ
建物の換気をしない場合、以下の2つのリスクが生じます。
・人間に対して悪い影響を与える物質が、部屋の中にたまったり増えたりする
・二酸化炭素などで汚れた空気が部屋の中にたまったままになる
換気をしない部屋は、空気が部屋の外に出にくいので、ハウスダストや花粉、ウイルスなどが部屋の中にずっと存在したり、増えたりしてしまいます。
ハウスダストなどの汚染物質は、人間によくない影響を与えます。
最近の建物は気密性が高いため、何もしなければ十分な換気ができません。
エアコンを運転すれば換気ができると考える人は多いですが、ほとんどのエアコンは換気せずに室内の温度を調節します。
建物の風通しをよくするには、ガラリの設置による換気が必要なのです。
あとがき
ガラリは建物の換気を自然に行うための便利な設備です。
形状や機能によって、さまざまな種類のガラリがあります。
施工する建物に合うガラリを選び、発注者に良質な建物を提供しましょう。