C'Lab

【2022年最新版】火気使用願の書き方とは?詳しい解説で丸わかり!

建築コラム

8
火気使用願 グリーンファイル

「こんどの建設工事で火気を使うから、書類つくっておいてね!」

上司から頼まれたのはいいものの、下記のような悩みや疑問を持つ人は少なくありません。
「書類作成のためにどこから手をつけていいかわからない」
「そもそも、火気を使うための書類とはどんなものなのだろう?」

そこで今回は、火気を扱う工事の際に提出しなければならない「火気使用願」の書き方を、項目ごとに詳しくお伝えします。

また、「火気使用願」のフォーマット(様式)や提出先についてもお伝えするので、ぜひ最後まで読んで書類作成の参考にしてください。

「火気使用願」とは?

ワオキツネザルがストーブで暖を取っている様子

「火気使用願」とは、工事現場で火を使う場合に、「どのような場所」で「どのような火気」を使用するのかなど、安全上の管理方法についてまとめた書類です。

工事そのものに使う火気だけではなく、現場内の事務所や宿舎、休憩所の湯沸かし器や暖を取るための火気も申請します。

「火気使用願」のフォーマット(様式)

「火気使用願」の基本のフォーマット(様式)は「全建統一様式参考様式第9号」です。

縦長の用紙に大きな字で「火気使用願」と記載されているものを使用して書類を作ります。
元請け会社がオリジナルのフォーマット(様式)を用意していることもありますが、記入が必要な内容はほぼ同じです。

「火気使用願」を提出に際して、作成する必要があるのは用紙1枚のみです。
そのため「火気使用願」は、他の労務安全書類(グリーンファイル)の作成と比べると、少ない労力で作ることのできる書類であると言えます。

「火気使用願」の提出先は?

「火気使用願」の作成者と提出先について整理しておきましょう。

「火気使用願」を作成するのは現場で火を使う会社で、提出先は元請け会社です。

ただし、1つ押さえておきたいポイントがあります。
ポイントは、現場で火気を使用するのが、二次下請け・三次下請け会社である場合の考え方です。

二次下請け・三次下請け会社が火を使う場合は、完成した「火気使用願」を直接元請けに提出するのではなく、一次下請けの会社に提出する必要があります。

一次下請の会社は、二次下請け・三次下請けの会社から提出された「火気使用願」を他の労務安全書類(グリーンファイル)とともに取りまとめて、元請け会社に提出します。

「火気使用願」の書き方を項目ごとに解説!

「火気使用願」の書類全体のイメージ

「火気使用願」の書き方について、各項目ごとに解説します。

項目への記入にあたって、特別難しいことはありません。
解説を参考にしながら、1つずつ落ちついて書いていきましょう。

なお前述の通り、「火気使用願」の作成時に最も広く使われているフォーマット(様式)は「全建統一様式参考様式第9号」です。
そのため、この記事では「全建統一様式参考様式第9号」を定型として説明します。

他の書式でも記入項目はほとんど同じであるため、「全建統一様式参考様式第9号」以外のフォーマット(様式)を使う場合でも安心してご参照いただけます。

「火気使用願」欄外部分(前付け)の書き方

「火気使用願」の欄外部分(前付け)のイメージ

「火気使用願」の欄外部分(前付け)の項目を順番に見ていきましょう。

記入が必要な項目は下記の通りです。

・日付の記入部分
・作業所名
・作業所長
・一次会社名
・使用会社名
・現場代理人(現場責任者)

・日付の記入部分

「火気使用願」を提出する日付を記入しましょう。
年の記入は西暦でも問題ありませんが、和暦で表記するケースがほとんどです。
また、書類の記入日と混同しないように注意してください。

・作業所名

工事が行われる現場の名前を記します。
基本的には、国や地方自治体などの注文者や、元請け会社が定めた建物の名前を書きます。

例えば、「〇△新築工事」「△△作業所」「〇〇ビル改修工事」などと記入しましょう。

・作業所長

元請け会社が配置している現場代理人の氏名を記入しましょう。
一次の会社ではなく、元請け会社の現場代理人の氏名を書かなければならないため、混同しないように注意してください。

・一次会社名

「火気使用届」を提出する一次下請け会社の名称を記します。

・使用会社名

工事で火を使用する自社の名称を記入しましょう。
なお、「( 次)」と書かれた空欄には、自社が何次の下請け業者にあたるのかを数字で書きます。

・現場代理人(現場責任者)

自社に所属している現場代理人(現場責任者)の氏名を記入します。

現場代理人(現場責任者)は、会社に代わる工事の請負業務の責任者です。
そのため、工事の期間中に現場に常駐することが可能な人の氏名を書きましょう。
また、捺印も必要となるため、忘れないように注意してください。

「火気使用願」欄内部分の書き方

「火気使用願」の欄内部分のイメージ

「火気使用願」の欄内部分の記入方法を解説します。

記入が必要な項目は下記の通りです。

・使用場所
・使用目的
・使用期間・使用時間(原則)
・火気の種類
・管理方法
・火元責任者(後始末巡回者)
・火気使用責任者

・使用場所

火気を「使用する場所」と「施工内容(何をするのか)」を簡潔に記します。
例えば、「屋上の手摺(てすり)取り付け」などと記載しましょう。

「使用場所」という文字を見るとそのまま場所だけ書いてしまいそうになりますが、「施工内容(何をするのか)」についても記入が必要な点に注意してください。

・使用目的

「使用目的」の欄内には溶接や圧接、乾燥などと記載されているため、該当する項目をすべて〇(丸)で囲みます。

溶接や溶断といった、いかにも「工事現場!」という項目の他にも、湯沸かしや炊事のような一見すると建設工事とは関係がなさそうな項目もあります。
工事とは無関係に思える項目は、現場で煮炊きをするケースなどを想定した項目です。
現場内の事務所や宿舎、休憩所などの湯沸かし器、暖房などが含まれます。

煮炊きや暖を取るために火気を使うケースにおいても、「火気使用願」を提出する必要があるため、抜けやもれのないよう注意しましょう。

・使用期間・使用時間(原則)

「使用期間・使用時間(原則)」は、火気を使用する期間と1日の使用時間を記入する欄です。
現場ごとに決められた始業時刻と終業時刻を書きましょう。

なお、終業時刻を過ぎて作業する場合には、事前に現場監督に届け出る必要があります。

・火気の種類

「火気の種類」の記入欄では、火気に使用される燃料を確認して、ガスや電気、灯油や木炭など、該当するすべての項目を〇(丸)で囲みましょう。

・管理方法

「管理方法」の欄は、万一の時の防火器具を明記する項目です。
火気を使用した工事を安全に実施するためにどのような工事体制を整えているのかを、ひと目で把握するための項目です。

消化器や防火用水、防災シートなど、工事現場に用意している防火器具をすべて〇(丸)で囲んでください。

取り扱う上で注意すべき点がある火気については、()「カッコ」の中に注意する内容を記入します。
例えば、「引火物を除いて作業を実施する」「作業中に換気を実施する」などと書きましょう。

・火元責任者(後始末巡回者)

火元責任者(後始末巡回者)の氏名を書きましょう。

主に下記の3点についてチェックを実施する責任者の氏名を記入します。

1. 火気を使用した後に片付けが実施されているか
2. 安全な場所に保管されているか
3. 電源やガス栓などは止められているか

火元責任者(後始末巡回者)には資格などは不要ですが、器具の使用方法や工事現場での火災の危険性について、正しい知識を持った人を選任するのがよいでしょう。

・火気使用責任者

「火気使用責任者」の欄に氏名を記入する人は、使用する火気を扱う資格を保有していることが必須条件となります。
該当する主な作業は、アーク溶接やガス溶接などです。

また、火元責任者(後始末巡回者)とは別の人を選ぶ必要があるため、同一の人物を選任しないように気をつけましょう。

「火気使用願」の下部について

「火気使用願」の下部のイメージ

「火気使用願」の下部は、書類の提出後に元請け会社側が記入する部分です。
「火気使用願」の書類を始めに作成する会社側での記入は不要となりますので、今回は解説を省略しました。

書類を提出された元請け会社は、「火気使用願」の内容を確認し、許可条件がある場合には該当欄に記入をしてから書類の写しを提出者へ渡します。

あとがき

今回は「火気使用願」の書き方について、項目ごとに詳しくお伝えしてきました。

項目の名称だけを見ると記入すべき内容を誤ってしまいそうな部分もありますが、今回解説したポイントを参考に、正確な「火気使用願」を作成しましょう。

「火気使用願」をはじめ、労務安全書類(グリーンファイル)は建設現場の安全確保のために欠かせない書類です。
作成の手間はかかりますが、現場の事故を防止するため、そして関係者の命を守るために、しっかりと取り組んでいきましょう!

「火気使用願」以外の労務安全書類(グリーンファイル)について知りたい方には、こちらのまとめもおすすめです!

8