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建設業はSDGsにどう取り組むべき?事例や得られるメリットを解説!

建築コラム

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建設業 SDGs

SDGs(Sustainable Developement Goals、持続可能な開発目標)への関心が、建設業においても高まっていることをご存知でしょうか。

SDGsは2015年の国連サミットで掲げられ、2030年までの解決を目指す世界共通の目標で、「貧困をなくそう」「働きがいも経済成長も」など、世界を変えていくための17の目標が提示されています。

この記事では、押さえておきたいSDGsのポイントや建設業がSDGsに取り組むメリット、取り組み事例について紹介します。

SDGsとは?

SDGsとはSustainable Development Goals(接続可能な開発目標)を略したもので、「エスディージーズ」と読みます

「誰一人取り残さない」(leave no one behind)というスローガンにもとづき、理想の社会を実現するための17の目標と169のターゲットで構成されています。

2017年の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)で、SDGsに関する市場規模が12兆ドルにのぼり、3億8,000万人もの雇用が生まれるという推計が出されたことを契機に、ビジネスの世界でも注目されるようになりました。

出典:SDGsとは? JAPAN SDGs Action Platform|外務省

SDGsでの建設業の役割

建設業は、インフラ整備などのまちづくりをはじめ、防災やエネルギー循環といった、私たちの暮らしに深く関わる業界です。そのため、SDGsに取り組むことで、さまざまなゴールを達成できる可能性があります。今回は建設業がSDGsに取り組むことで達成されるゴールについて、代表的な3つの目標を紹介します。

ゴール9:産業と技術革新の基盤をつくろう

持続可能な産業を築くには、それを支える道路,水道,電力,インターネットなどのインフラの整備が必要不可欠です。そのインフラの整備を担う建設業では、環境に配慮した技術の開発を推進し、地震や水害に強いインフラの整備を進めることを目指しています。これらの技術は誰でも使えるようにすることも大切です。

ゴール11:住み続けられるまちづくりを

経済や文化の中心であり、学校や駅など社会的機能を持つ都市の開発では、都市に集まるたくさんの人々が安心・安全に暮らしていくための都市設計が必要です。

現在、まちの重要なのうを中心部に集め,路面電車やバスなど公共交通を整備することで、車の運転が難しくなった高齢者でも簡単に移動ができる「コンパクトシティ」を目指す自治体も出てきています。施設の移設や、新しい交通網の整備には、建設業の存在が必要不可欠です。

ゴール13:気候変動に具体的な対策を

建設業は、資材調達や施設の施工、さらには改修・解体などさまざまな場面で、地球温暖化の原因となるCO2の排出が行われるため、その影響は大きいと言われています。そのため脱炭素(カーボンニュートラル)を目指し、省エネルギー住宅や新しい建材の開発が進められています。

建設業がSDGsに取り組むメリット

SDGsに取り組むことで、建設業が持つ「きつい・汚い・危険」という負のイメージを払拭し、新たな人材の確保にもつながる可能性があります。ここでは、建設業がSDGsに取り組むメリットを紹介します。

メリット1:持続可能なコスト削減

SDGsの目標達成に向けて、工事における省エネルギーや廃棄物の削減を目指すことは、廃棄処分やエネルギー使用料などのコストカットにもつながります。

また、働きがいがある現場を提供することで、社員の満足度が向上し、社員の離職を防ぐことができます。 そうなると、社員の採用経費を抑えることもできます。

メリット2:ビジネスチャンスの獲得

SDGs関連の市場規模は12兆ドルと試算されており、新たなビジネスチャンスが期待されています。

さらに、SDGsは企業だけではなく、国が取り組むべき課題でもあるため、推進する事業が行政府や国際機関などから評価を得た場合、助成金や支援を受けられる可能性があります。

大企業に比べて事業資金が限られる中小企業においても、SDGsへの取り組みはビジネスの可能性を広げるチャンスとなるでしょう。

メリット3:若年層の採用に向けてのイメージアップが図れる

近年、20代、30代の若い世代が就職や転職を考える際、条件面はもちろんのこと、会社が取り組む社会貢献活動に注力する人が増えてきています。

ビジネスを取り巻く環境の変化に伴い、企業の長期的・持続的な成長や経営の健全性を測る指標として、SDGsなどの社会的取り組みが注目を集めているからです。

企業が社会的な取り組みに関心を持ち、変化に対応しようとしている姿勢を若年層にアピールすることは、優秀な人材を獲得するチャンスになっています。

建設業のSDGsへの取り組み事例

次に、建設業におけるSDGsへの取り組み事例を3つ紹介します。

取り組み事例1:建築研究所

国土交通省所管の国立法人である建築研究所は、リサイクル材を活用したコンクリート、鉄筋、建築仕上材を、試験期間100年に設定し、屋外における耐久性・使用安全性を確認しています。

耐久性試験で得られるデータをまとめ、環境負荷の少ない建材の効果を明らかにして、持続可能な社会につながる建築・改修技術を発展させたい考えです。

出典:建設研究所、耐久性100年の実験=SDGs念頭に、再利用でいる廃材など環境負荷の抑制へ|住宅産業新聞社

取り組み事例2:鹿島建設

頻発する洪水被害や土砂災害、地球規模の温暖化による渇水被害を受けて、鹿島建設では既存のダムを有効活用する「ダム再生」を進めています。

1974年の三川ダムかさ上げ工事(広島県)を皮切りに、山王海ダム(岩手県、2001年完成)や五十里ダム(栃木県、2003年完成)など37か所(2018年3月現在)のダム再開発事業を手掛けてきました。豊富な実績と総合力、さらなる技術開発に邁進し、洪水・渇水の被害低減再生可能エネルギーの活用に貢献しています。

出典:SDGsと鹿島の事業活動|鹿島建設

取り組み事例3:竹中工務店

2022年2月、関西大学と株式会社竹中工務店は、SDGsの取り組みについて一層の推進を図ることを目的とした「関西大学SDGsパートナーシップ制度」を結ぶことに合意しました。

今後は、2018年に台風で被災した、高槻市内の風倒木を建材に生まれ変わらせ、関西大学が計画する建物の新築及び改修工事での仕上材等に活用することを検討しています。

出典:株式会社竹中工務店が「関西大学SDGsパートナー制度」へ登録|竹中工務店

あとがき

今回は、建設業におけるSDGsに取り組むメリットや取り組み事例について紹介しました。

SDGs達成に向けた取り組みは、社会貢献の面だけではなく、新しい事業の創出や企業ブランドの認知向上など、ビジネス面でも重要な機会となり得ます。

この機会に、SDGs達成のために自社でどのような取り組みが行えるかを検討してみてはいかがでしょうか。

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