C'Lab

建設業の脱炭素(カーボンニュートラル)とは?|具体的な事例やポイントを解説

建築コラム

12

いま世界的に脱炭素(カーボンニュートラル)という考え方が急速な広がりを見せていることをご存じでしょうか?

脱炭素(カーボンニュートラル)は、地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)の排出がゼロになった状態を表す言葉です。

建設業界は、資材調達や施設の施工、さらには改修・解体などさまざまな場面でCO2の排出が行われるため、その影響力は大きいと言われることも。

今回は押さえておきたい脱炭素(カーボンニュートラル)のポイントと、建設業界における具体的な取り組み事例について紹介します。

脱炭素(カーボンニュートラル)とは?

脱炭素(カーボンニュートラル)とは、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出量を削減し、さらに植林活動などを通じてCO2の吸収量をあげることで、実質的に温室効果ガスの排出をゼロにすることです。

出典:カーボンニュートラルとは?脱炭素ポータブル|環境省 

脱炭素(カーボンニュートラル)はなぜ必要なのか?

これまで豊かな生活を送るため、エネルギー資源としてさまざまな場面で活躍してきた炭素ですが、歯止めがきかない地球温暖化に世界が目を向けざるを得ない状況に。

このような現状を踏まえ、2015年には温室効果ガス削減に関する国際的取り決めとして「パリ協定」が締結され、2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指すことが採択されました。

日本社会でも、自動車業界をはじめとしたさまざまな企業で脱炭素(カーボンニュートラル)への取り組みがはじまっており、ビジネスにおいて企業評価の一つのポイントとなることも。

また、脱炭素に向けた取り組みは企業だけではなく、国が取り組むべき課題でもあるため、推進する事業が行政府や支援機関などからの評価を得た場合、助成金や支援を受けられる可能性があります。

大企業に比べて事業資金が限られる中小企業においては、脱炭素(カーボンニュートラル)への取り組みはビジネスの可能性を広げるチャンスとなりえます。

出典:2020年以降の枠組み:パリ協定|外務省

建設業界での脱炭素(カーボンニュートラル)の動き

日本におけるCO2排出量の3分の1を占める建設業界においても、脱炭素(カーボンニュートラル)を目指しさまざまな動きがあります。

グリーンビルディング認証

建築工程や施工後の運用において、エネルギーや水の使用を抑えたり、敷地内を緑化した建物はグリーンビルディングと呼ばれており、「パリ協定」締結以降注目を集めるように。
さらに、環境に配慮しているのはもちろんのこと、機能的な美しさを持つモダンな建築物が多いのも特徴です。

日本のCASBEE認証

現在、国土交通省の産官学共同プロジェクトとしてCASBEE(建築環境総合性能評価システム)がグリーンビルディングの認証を担っています。

認証を受けることで、省エネやヒートアイランド対策など数多くの環境配慮に会社として取り組んでいることをアピールできるため、投資家からの評価目的で認証を受ける企業も増加傾向に。

出典:不動産の環境性能評価|国土交通省

アメリカのLEED認証

グリーンビルディング認証の先駆けとなったのは、アメリカで生まれたLEED認証です。1998年に米国グリーンビルディング協会が開発したもので、世界的に評価される指標の一つです。

認証レベルは、プラチナ、ゴールド、シルバー、サティスファイドの4段階あり、カテゴリーも細かく分けられています。

出典:USGBC Live 2022 Boston | St. Paul | Washington, D.C.

建設業界の脱炭素(カーボンニュートラル)のポイント

建設業界において取り組みを進める場合、次の3つのポイントを押さえましょう。

ポイント1:環境負荷とコストの双方に配慮した工法

環境に配慮するあまり、コストがかかりすぎては顧客のニーズを満たせず、会社としての評価は下がります。闇雲に新しい技術や機材を導入するのではなく、一度専門家に相談して情報を集めるのがオススメ。

ポイント2:建材や資材のサステナブル化

製造工程でも大量のCO2を排出する鉄筋の代わりとして、木材やポリプロピレンといった再生可能な原料を活用する事業者が増えています。

さらに木材に関しては、2009年のリーマンショック以降鉄骨鉄筋コンクリートの価格が高騰していますが、木造の単価は横ばいもしくは下降で推移しているため、環境配慮とコストとの両立も可能といえます。

出典:第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(3)|林野庁

ポイント3:エネルギー効率を高める設計

建築物は建てた後の運用においても、エネルギー効率を高めて、CO2の排出を削減することが求められています。

削減に向けて採用するオーナーが多い太陽光発電はもちろんのこと、省エネ効果の高いヒートポンプ給湯器の導入や、エネルギー代が節約できるより断熱効果の高い建築外皮の採用など、さまざまな手法を使ってアプローチしましょう。

出典:脱炭素に向かう建築・住宅 エネルギーの効率化と 自然エネルギーのシナジー|自然エネルギー財団

建設業界の脱炭素(カーボンニュートラル)事例3選

次に、建設業界における脱炭素(カーボンニュートラル)に向けた取り組み事例を3つ紹介します。

取り組み事例1:大林組

建設会社大手の大林組は、LEED認証を取得し脱炭素(カーボンニュートラル)を進めています。
2022年4月には、セメント製造時のCO2排出量を最大80%削減するクリーンクリート®の技術を基に、鉄筋コンクリートの材料にもなる「クリーンクリートN」を発表。

この「クリーンクリートN」を使い、CO2排出量を実質ゼロ以下(カーボンネガティブ)と廃棄物削減を目指すこともあわせて宣言されました

出典:製造工程でのカーボンネガティブを実現する「クリーンクリートN™」を開発|大林組

取り組み事例2:積水ハウス

積水ハウスは建築物の使用段階におけるCO2排出量の削減に向け、太陽光発電システムまたは燃料電池のいずれかを採用したZEH「グリーンファーストゼロ」住宅の普及を推進しています。

また、事業で消費する電力をすべて再生可能エネルギーで賄うことを目指し、オーナー宅の余剰電力を買い取る「積水ハウスオーナーでんき」も開始しました。

出典:ESGの重要テーマ〜脱炭素社会|積水ハウス

取り組み事例3:竹中工務店

数多くのオフィスビルを手がける竹中工務店は、CO2を吸収するちからを持つ自然の多様な機能を生かした「グリーンインフラ(GI)」を取り入れたまちづくりを進めています。

また、2021年10月には、鹿島建設株式会社、デンカ株式会社の両者と、製造時のCO2の排出量よりも、CO2の吸収量の方が多い「カーボンネガティブコンクリート」の開発に向けて、共同研究を進めていくことも発表。

出典:ライフサイクルCO2 ゼロへ。竹中工務店が描く設計図。|竹中工務店

あとがき

今回は、脱炭素(カーボンニュートラル)について押さえておきたいポイントをご紹介させていただきました。

「国際的な会議で話し合われる世界的な取り組み」と聞くと、どこか遠い場所で決まったことのように感じてしまいますが、脱炭素(カーボンニュートラル)のような「持続可能な社会に向けた取り組み」を事業主に求めるという動きは、今後も続いていく見込みです。

「社会的に評価される会社づくり」を目指し、脱炭素(カーボンニュートラル)に向けた取り組みをはじめてみてはいかがでしょうか。

関連記事:建設副産物情報交換システム(COBRIS)の概要、できること、はじめ方、気をつけたいポイントを徹底解説!

12