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建設現場の「安全管理」まとめ!安全管理指針14個を分かりやすく解説

建築コラム

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建設現場の安全管理

あらゆる危険と隣り合わせの建設現場では、安全管理は決して欠かせません。
厚生労働省では、建設現場の安全管理レベルの向上を促すために、「安全管理指針」を示しています。

今回は、厚生労働省が示した14の安全管理指針を「環境的要因編」と「人的要因編」の2つに分け、分かりやすく解説します。
安全管理の理解を深める内容となっているため、ぜひ最後までご一読ください。

建設現場の安全管理とは

建設現場の安全管理とは、建設現場において作業環境を安全に整えることを指します。

状況が常に動いている建設現場では、リスクを取り除くことが必要です。
もし事故が起こった場合、工期までに建設作業が完了できない恐れもあります。
そのため、建設現場において安全管理の考え方は欠かせません。

施工管理の1つである安全管理

安全管理は、施工管理のうちの1つです。
施工管理とは、建造物の予算や品質、スケジュールなどの全体を管理する業務をいいます。

施工管理で特に重要だとされているのは、安全管理を含む以下の4大管理です。

・工程管理
・原価管理
・品質管理
・安全管理

安全管理が必要な理由

安全が保たれていない現場では事故が発生する可能性が高まるため、建設工事を進めることができません。
そのため、建設現場では安全管理が必要です。

建設現場では、高所での作業や建設機械を使った作業を行うため、ケガや死亡事故の危険性が高い傾向にあります。

建設工事において最優先されるのは、無事故での工事完了です。
最優先事項が無事故であることを踏まえると、安全管理は施工管理の中で最も大切な業務であると言えます。

建設現場の安全管理を「環境要因」「人的要因」に大別

建設現場の安全管理は、環境的な要因と人的な要因の2つの面から考える必要があります。

厚生労働省は、建設現場の安全管理レベルの向上を促進するため、「安全管理指針」を示しています。

参考:元方事業者による建設現場安全管理指針について|厚生労働省

安全管理指針に記されているのは、安全管理の具体的な14の手法です。
以下では、安全管理指針を「環境的要因編」と「人的要因編」の2つに分け、分かりやすくご紹介します。

建設現場の安全管理【環境的要因編】

安全管理指針のうち、環境的な要因にかかわるものは以下の通りです。

安全衛生管理計画の作成

元方事業者は、建設現場の安全管理の基本的な方針や安全衛生の目標、労災防止対策のポイントなどを記載した「安全衛生管理計画」を作成するよう定められています。

請負契約での労災防止対策の実施者・経費負担者の明確化

元方事業者は、請負契約での労災防止対策の実施者や経費の負担者を、明確にする必要があります。
また、労災防止のための経費の中で、防網設置などの請負人が負担する経費については、請負契約書に添付する内訳書などに、該当の経費を明記します。

作業手順書の作成

元方事業者は関係請負人に対して、労災防止に配慮した「作業手順書」の作成を指導します。

協議組織の設置・運営

元方事業者が設置・運営する労災防止協議会などの協議組織では、会議や協議、協議結果の周知などを行って活性化を図るよう示されています。

安全施工サイクル活動の実施

元方事業者は、施工と安全管理が一体となった安全施工サイクル活動の展開が求められています。

職長会(リーダー会)の設置

元方事業者は関係請負人に対し、職長・労働者の安全衛生意識のアップや職長間の連絡を密にすることなどが求められます。
その1つの手段として示されているのは、職長会(リーダー会)の設置です。

関係請負人が実施すべき5つの事項

関係請負人は、以下の5点の実施を求められます。

・安全衛生管理計画の作成
・安全衛生推進者の選任
・安全衛生責任者の選任
・安全衛生パトロールの実施
・労災の原因調査と再発防止対策の設定

建設現場の安全管理【人的要因編】

安全管理指針のうち、人的な要因にかかわるものは以下の通りです。

行き過ぎた重層請負の改善

元方事業者は、労災を防ぐ上で問題が起こりやすい「重層請負」の改善のため、以下の2点の遵守が必要です。

・労災を防ぐための事業者責任を遂行できない、単純労働の労務提供のみを行う事業者などには、業務の一部を請け負わせない
・業務のすべてを一括して請け負わせない

元方事業者による関係請負人・労働者の把握

元方事業者は、関係請負人への安全衛生の指導を適切に行うために、以下の4点を把握しておくことが大切です。

・関係請負人の名称、請負内容、安全衛生責任者の氏名、安全衛生推進者の選任の有無と氏名
・関係請負人が雇用する労働者の、安全衛生にかかわる免許や資格、特別教育・職長教育の受講の有無
・関係請負人の安全衛生責任者またはこれに準ずる人物の駐在状況
・関係請負人が現場に持ち込む機械や設備

作業間の連絡・調整

建設現場ではしばしば混在作業((指揮系統の異なる労働者が入り混じって行われる作業)が行われます。

元方事業者は混在作業による労災を防ぐため、作業開始前に指揮系統や作業場所の状況などについて、関係請負人の安全衛生責任者と十分な連絡・調整を行う必要があります。

作業場所の巡視

元方事業者は、統括安全衛生責任者や元方安全衛生管理者、またはこれらに準ずる人物に、毎作業日に1回以上の作業日の巡視を実施させます。

新規入場者教育

元方事業者は、関係請負人の労働者のうち、新しく作業をすることになった人物には、援助を行わなければなりません。
援助の具体的な内容は、新規入場者教育の実施に必要な場所や資料の提供です。

また、新規入場者教育の実施状況について、関係請負人からの報告を受ける必要があります。

新たに作業を行う関係請負人への対応

元方事業者は、新しく作業をすることになった関係請負人に対して、協議組織の会議の内容や、作業間の連絡調整の結果を知らせる必要があります。

作業開始前の安全衛生に関する打ち合わせ

元方事業者は関係請負人に対して、毎日の作業前に労働者を集めて安全衛生の打ち合わせをするよう指導を行います。

あとがき

危険性の高い建設現場だからこそ、事故を防ぐために安全管理を徹底することはが欠かせません。
建設現場での安全管理は、元方事業者だけではなく関係請負人が一体となって進めることが大切です。
無事故の工事完了のために、積極的な安全管理に臨みましょう。

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