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実は法令によって定められていた!「車両系建設機械作業計画書」の書き方まとめ(記入例あり)

建築コラム

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車両系建設機械作業計画書

建設現場において、整地・運搬や掘削作業、基礎工事をおこなうには、車両系建設機械の使用が欠かせません。

こうした車両系建設機械を用いた作業を安全におこなうためには、事前に各機械の状況を確認した上で作業の方法を検討し、作業計画をたてておくことが大切です。

そして、たてた作業計画は、あらかじめ作業員にしっかりと知らせて、確実に実行される必要があります。

また、作業計画書の作成が必要な車両系建設機械や工事種別は、労働安全衛生規則という法令によって定められています。

今回は、「車両系建設機械作業計画書」の書き方や記入例について、わかりやすくお伝えしていきます。

「車両系建設機械作業計画書」とは?

車両系建設機械を使用して現場の作業をおこなう場合には、安全を確保するために「車両系建設機械作業計画書」という書類を作成しなければなりません。

この書類の作成について定めている「労働安全衛生規則 第155条」には、つぎのように記載されています。

1.事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行なわなければならない。

2.前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
 一.使用する車両系建設機械の種類及び能力
 二.車両系建設機械の運行経路
 三.車両系建設機械による作業の方法

3.事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第二号及び第三号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生規則 第155条(作業計画)|e-Gov 法令検索

このように、「車両系建設機械作業計画書」の作成は、法令によって定められた義務であることがわかります。

「車両系建設機械作業計画書」の一般的な記載項目の書き方

それではさっそく、「車両系建設機械作業計画書」の書き方をご説明していきます。基本的な記載項目を順に見ていきますので、ご自分のケースにあわせて記入しましょう。

基本情報

こちらの項目には、作業所長名、元方管理者、担当者名、作業所名または作業名、使用会社名、作成者名を記入します。

使用業者が複数存在する場合には、業者ごとに作成する必要があります。

区分

車両の区分ごとに、作業能力や担当者情報をそれぞれ記入しましょう。

主な車両区分はつぎの通りです。

・整地・運搬・積込用機械
・掘削用機械
・基礎工事用機械(杭打ち機を含む)
・締固め用機械
・解体用機械
・コンクリート打設用機械

選任・指名

作業指揮者、作業指揮者、誘導者、運転者などを記入します。

合図方法

手合図、旗、笛、無線またはそれ以外の手段を明記します。

危険範囲立入禁止措置

使用する車両を運用する上で、危険な区域が発生する場合の立入禁止措置の手段を記載します。主な選択肢は、誘導者、バリケード、トラロープ、カラーコーン、警報装置などです。

作業場所

地形や地質についての情報を記入します。

地形は平地なのか段差地なのか、作業面は広いか狭いか、地質は砂か泥炭かなど書いていきましょう。

障害物架空線

埋設物、障害物、架空線(コンクリート柱・鉄塔などによって空中に張りわたした電線)の有無や、養生方法などについて記入します。

転倒防止および危険防止措置

法肩(のりかた)の崩壊防止措置、地下埋設物防護措置、架空線離隔距離などについて記載し、監視者の有無などを明記します。

作業方法・内容

こちらの項目には、具体的な作業方法や手順、確認事項などについて簡潔に記入します。

記入例:掘削作業は、No.0丁張より開始し、ダンプトラックはバックホウ左手に配置し、左旋回90°で荷台後方から積み込む。

安全対策

どのような安全対策をおこなうのか、簡潔に記載します。

記入例:掘削完了個所より、順次単管柵へ切り替え、起点側には昇降用タラップを設置する。

機械等の配置図

作業場所全体を示す平面図を作成します。必要に応じて側面図も用いて表しましょう。

図には、機械の配置や運行経路(幅員・標識)、作業範囲内(誘導者・バリケード)などの情報を記載します。

元方指導事項

元方事業者から特記すべき指導内容があれば記入します。

記入例:合図者は、柵の内側およびバックホウの作業範囲内へ立ち入ることを禁止する。

あとがき

この記事では、「車両系建設機械作業計画書」の書き方や記入例についてお伝えしてきました。

書類の作成にあたって難しいことは特別ありませんが、記入漏れや誤字・脱字がないかなどはしっかりとチェックするように心がけましょう。

また、この計画書は作成するだけで終わらせることなく、現場の関係労働者全員に内容を知らせることに意味があります。

作業計画書の作成・周知を徹底し、安全な環境で建設作業を進めましょう。

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