「スキルの見える化」とも言われている「建設技能者のレベル判定(能力評価制度)」。
建設キャリアアップシステムに深いかかわりのある重要なシステムである一方、制度そのものにややこしさを感じている人も多くいます。
そこで今回は、レベル判定の概要や料金、申請者や申請先について、分かりやすく解説します。
また、レベル判定の基準についても紹介するので、レベル判定について疑問を持っている方はぜひ参考にしてください。
目次
建設技能者のレベル判定(能力評価制度)とは
建設技能者のレベル判定(能力評価制度)とは、技能者のスキルを能力評価基準に照らしあわせ、基準をクリアした人にレベルが付与される制度です。
レベル判定(能力評価制度)を受けるための前提
建設技能者のレベル判定(能力評価制度)を受けるためには、対象の技能者が建設キャリアアップシステムの技能者登録(詳細型)を完了していなければなりません。
建設キャリアアップシステムの技能者登録が済んでいる人は、まず「ホワイトカード」を取得します。
つまり、レベル判定を受ける前提条件は、「ホワイトカード」を手に入れておくことであると言えます。
技能者登録については、こちらで詳しく紹介しています。
誰が、どこに申請するの?
レベル判定(能力評価制度)の申請は、対象の技能者本人ではなく、技能者が所属する事業者が代行して行います。
申請の際、所属事業者は建設キャリアアップシステムの事業者登録を完了していなければならないため、注意が必要です。
事業者登録については、こちらで分かりやすく解説しています。
また、レベル判定の申請先は、技能の評価分野に応じた能力評価実施団体です。
例えば、レベル判定を受ける技能者が「鉄筋」の分野で評価を受ける場合は、申請先は「(公社)全国鉄筋工事業協会」となります。
2022年6月時点では、能力評価は「電気工事」「橋梁」をはじめとした38分野で実施されています。
詳しい分類と各能力評価実施団体については、国土交通省の情報を確認してください。
参考:【CCUSポータル】能力評価分野及び申し込み先|国土交通省
レベル判定に必要な費用
レベル判定の申請前に、評価手数料の振り込みが必要です。
手数料は、4,000円(税込)または各能力評価実施団体が定める金額となります。
金額と振込先については、該当の能力評価実施団体の公式ページを確認しましょう。
建設技能者のレベル判定(能力評価制度)とカードの色のかかわりは?
レベル判定(能力評価制度)の実施後、技能者には判定後の技能レベルを反映した建設キャリアアップカードが発行されます。
カードの色と技能レベルまとめ
発行される建設キャリアアップカードの色と技能レベルの関係は以下の通りです。
技能レベル | カードの色 | 内容 |
---|---|---|
レベル1 | ホワイト | 初級技能者(見習いの技能者) |
レベル2 | ブルー | 中堅技能者(一人前の技能者) |
レベル3 | シルバー | 職長として現場に従事できる技能者 |
レベル4 | ゴールド | 高度なマネジメント能力を持った技能者(登録基幹技能者など) |
4種類の中で最も高いレベルは、レベル4(ゴールド)です。
各レベルの判定基準
レベル1(ホワイト)~レベル4(ゴールド)の判定基準は、各能力評価実施団体によって異なります。
ここでは、「(公社)全国鉄筋工事業協会」が定める鉄筋技能者のレベル判定基準を紹介します。
あくまでも判定基準の1つの目安として参考にしてください。
参考:CCUSの技能者評価(レベル判定)|公益社団法人 全国鉄筋工事業教会
レベル1(ホワイト)の判定基準
建設キャリアアップシステムの技能者登録を済ませた技能者のうち、レベル判定を受けていない人は、全員レベル1(ホワイト)に該当します。
レベル2(ブルー)の判定基準
次の2つの要件を満たした場合、レベル2(ブルー)であると判定されます。
・建設キャリアアップシステムに登録された就業日数が645日(3年)以上であること
・玉掛け技能講習の資格を持っていること
レベル3(シルバー)の判定基準
次の3つの要件を満たした場合、レベル3(シルバー)であると判定されます。
・建設キャリアアップシステムに登録された就業日数が1,505日(7年)以上であること
・一級鉄筋施工技能士(鉄筋組立て作業、または鉄筋施工図作成作業)と、レベル2の基準に示す保有資格を持っていること
レベル4(ゴールド)の判定基準
次の3つの要件を満たした場合、レベル4(ゴールド)であると判定されます。
・建設キャリアアップシステムに登録された就業日数が2,150日(10年)以上であること
・登録鉄筋基幹技能者・優秀施工者国土交通大臣顕彰・安全優良職長厚生労働大臣顕彰・卓越した技能者(現代の名工)のうちの1つと、レベル2・レベル3の基準に示す保有資格を持っていること
レベル判定(能力評価制度)のメリット
レベル判定(能力評価制度)を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
まず、技能者本人にとってのメリットは、自身のスキルを対外的にアピールできる点と、モチベーションアップにつながる点です。
また、近年ではレベル判定に応じた手当支給が促進されているため、給与のアップにつながる可能性もあります。
参考:CCUSの能力評価等を反映した手当の支給例|国土交通省
一方で事業者にとっては、自社の技能者の優れた専門スキルをアピールすることで自社に対する評価が高まり、受注の拡大が期待できます。
あとがき
今回は、建設技能者のレベル判定(能力評価制度)について詳しくお伝えしてきました。
レベル判定の申請は、技能者ではなく事業者が、技能の評価分野に応じた能力評価実施団体に対して行います。
少し面倒に感じるかもしれませんが、技能者本人や事業者にとってのメリットは決して小さくはありません。
可能であれば積極的にレベル判定を行いましょう。