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建築基準法施行規則の改正│電子化のチャンス!建築確認申請の押印が不要に!

建築コラム

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建設基準法施工規則の改正



建築基準法施行規則が改正されました

建築基準法施行規則が2020年12月23日付で改正され、改正後の建築基準法施行規則が2021年1月1日に施行されました。

これにより、同1月1日以降、申請・届出が行われる確認・検査申請は一部の例外を除き、押印不要で手続きができることになりました。この記事では、改正の詳細や押印廃止のメリット、懸念されるリスクについて紹介します。

建築基準法とは

建築基準法とは、建物を建築する際や利用する際に守らなければならない最低限のルールを定めた法律です。

建築基準法には、建築物、建築物の敷地、設備、構造、用途、工事の図面の確認方法、工事の検査など、建築に関する多種多様なルールが記されています。

建築基準法施行規則とは

建築基準法施行規則とは、ざっくり言うと建築基準法の内容を補足し、またはその詳細を定める省令のことです。

建築をとりまく社会情勢や現場のニーズは日々変化します。そこで、建築のルールもそれらの変化を反映し、都度、見直しをすることが求められます。

ただ、法律は制定・改正のたびに国会での審議を経なければならず、手続きに膨大な時間が掛かります。それでは、時勢や業界のニーズに合わせた柔軟な運用ができません。

そこで、日本の法律では、建築基準法では主に建築に関する基本的なルールを定め、その細かい要件や手続きなど柔軟な運用が求められる事項については、別途、建築基準法施行規則で定めることとしています。

建築基準法施行規則は法律ではなく省令ですから、国会の審議を経ることなく政府の判断のみで適宜内容を見直すことができ、社会や現場のニーズに柔軟に対応することができます。

改正で押印が不要に

今回は、ITによる業務効率化やペーパレス化の流れの一環として、確認申請の手続きが一部変更され、押印が不要になりました。

■改正前
第1条の3(確認申請書の様式):別記第2号様式による正本1通及び副本1通に、それぞれ、次に掲げる図書及び書類を添えたもの(正本に添える図書にあっては、当該図書の設計者の記名及び押印があるものに限る)

■改正後
第1条の3(確認申請書の様式):別記第2号様式による正本1通及び副本1通に、それぞれ、次に掲げる図書及び書類を添えたもの(正本に添える図書にあっては、当該図書の設計者の氏名が記載されたものに限る)

改正により書類への押印が不要になるもの

上記の改正で、すべての書類の押印が不要となるわけではありません。書類ごとに適用される法律が異なるため、押印の取り扱いも異なります。

■押印が不要になるもの 
・申請書(確認申請、中間検査、完了検査、仮使用、計画変更)
・上記手続きに添付する設計図書
・建築工事届の除却工事施行者の押印
※改正後建築基準法施行規則が適用

■申請先によって扱いが変わるため、確認が必要なもの 
・委任状
・訂正印
※法令の定めなし

■押印が必要なもの(これまで通り)
・建築士法による設計図書
・構造安全証明書
※適用される法律が違うため今回の改正とは関係がない

改正で押印がなくなるメリット

電子化の促進

押印が不要になると、建築確認の電子化が進むことが期待されます。
建築確認の電子申請自体は以前から可能でした。ただ、これまでの電子申請は押印の代わりに電子署名(タイムスタンプ)を利用する必要があったため、そのサービスを導入する手間やコスト、運用の複雑さなどがハードルになっていました。今回、建築基準法施行規則が改正されたことで、電子申請におけるタイムスタンプも不要になり、事業者としてはより気軽に、建築確認の電子化に踏み切ることができます。

事務負担の軽減

確認申請の電子化により、申請にかかる時間と手間を大幅に削減することができます。紙ベースだと、正本や副本などを作成し、確認検査機関に郵送、あるいは持ち込むだけで数日かかる場合があります。それが電子申請であれば、すべてパソコン上で作業が完結し、また、検査機関の業務時間を気にせず24時間いつでも手続きができます。

工事全体の効率化

建築工事は施主、設計士、建設会社、建設業者など、多くの関係者、関係企業間の連係プレーによって成り立っています。建築基準法施行規則の改正により押印が不要となり、電子化が進むと、個々の手続きそのものが便利になるだけでなく、工事関係者間の連携がスムーズになり、工事全体をより効率よく進めることが可能になります。

リスクはないの?

書類の信用性が下がる?

もともと、建築確認申請の押印には目的がありました。一つは、文書の真正な成立(その文書の内容が正しく、かつ適正な手続きに乗っ取って作成されたこと)を担保することです。もう一つは、文書の作成者が本人であることを確認することです。

今回の建築基準法施行規則の改正では、押印の持つこれらの機能が損なわれてしまいます。そうなると、不正な書類や申請が横行するリスクはないのでしょうか。

政府の回答

こういった現場の不安に対しては、国土交通省がパブリックコメントで回答をしています。これは、建築業界にかかわる一般の方からの質問に政府が答えるものです。上記の懸念に対する政府の回答を要約すると、こういうことになります。

■今回の改正で押印を不要とする書類は、押印以外の方法によっても文書の真正な成立を証明できるものに限定している。

■ 本人確認についても同様に、対象の文書を、押印以外の方法で本人確認が可能なものに限定している。

したがって、押印がなくなることで不正な申請が横行するリスクは、現時点では低いと言えます。

参考:パブリックコメント(国土交通省)

まとめ

建築基準法施行規則の改正により、建築確認申請の押印が不要になり、確認申請の電子化が進むことが予想されます。今回押印が不要になった書類は一部のみでした。しかし、政府が各種行政サービスの電子化やペーパーレス化を進めていることから、今後、対象が広がる可能性も十分に考えられます。この機会に、業務の電子化を検討されるのもいいかも知れません。

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