C'Lab

建設業の労働災害とは?|範囲や給付内容、一人親方の労災対応まで解説

建築コラム

16

建設業は危険を伴う作業があるため、他の業種に比べて事故の発生リスクが高い業界です。

もし事故に遭遇してしまった場合、きちんと補償されるのか、補償内容はどうなっているのか、気になる人は多いと思いと思います。

就業中に怪我をしたり、病気にかかってしまうことを、労働災害(以下労災と表記)と言います。

今回は、建設業における労災について、労災と認定されるケースや給付内容、一人親方の場合の労災対応について紹介します。

建設業における労災

どのような条件が揃うと労災と認められるのでしょうか。

労働災害(労災)とは?

労働災害(労災)とは、労働者(アルバイトなども含む)が労働に従事する中で、負傷、疾病、あるいは死亡してしまうことです。

労災と言うと、作業中に機械に腕が巻き込まれて怪我をしたり、建設現場において落下した資材が直撃して死亡したりするような、身体的ダメージをイメージすることが多いかもしれません。

しかし、心理的負荷による精神障害や、長時間労働による過労死の場合も、労働災害と判断される場合があります。

出典:労災補償に関する主な制度|厚生労働省

労災が認められる範囲はどこまで?

労災には業務労災通勤労災の2種類に分類されます。
労働者(雇用形態は問わないのでパートやアルバイトも含む)を一人でも雇用している場合、事業主は労災保険への加入が義務付けられています。そのため、労働者は常に労災保険の対象となります。

業務災害

業務災害とは、業務遂行中に労働者が負傷、疾病、または死亡することを言います。
つまり、事業所に雇われている人が、その仕事のせいで、怪我や病気をしたり、後遺症が残ったり、亡くなることを言います。

発生した事故や病気が、以下の要件を満たすと業務災害と認定されます。

●業務遂行性
・事業主の管理下にある状態で労災が発生した場合
・工事現場の作業中や、現場での休憩中に発生した場合

●業務起因性
・遂行していた業務が原因で労災が発生した場合

通勤災害

職場への通勤途中で発生した事故は通勤災害と言います。
通勤途中と認められるためには以下の要件が必要です。

・住居と就業場所との往復
・就業場所から他の就業場所への移動
・単身赴任先と家族が住む住居間の移動

下請け会社の労災は対象になるのか?

建設業においては、元請会社が工事現場ごとに労災保険の加入を行います。加入の対象となるのは、元請会社の労働者だけでなく、下請け会社の労働者も含みます

そのため、建設工事の現場において下請け会社の労働者に生じた労災は、元請会社の労災保険により補償されます。

労働保険料についても元請会社が負担することになります。
ただし、労災保険についてのみこのような体系となるので、雇用保険に関してはそれぞれの会社で負担を行います。

出典:労働者災害補償保険法 第3章保険給付 第7条|e-Gov法令検索

事業主や一人親方の場合の労災について

労災補償に関する制度は、労働者を対象としているため、会社の事業主や一人親方のような個人事業主は原則対象となりません。

ただし、通常は労災保険の対象外である会社の事業主や一人親方でも、労災保険を受け取れる制度があります。

事業主や一人親方の場合は特別加入制度を利用

特別加入制度とは、業務内容や災害の発生状況からみて、労働者以外でも一定の要件を満たすことで労災保険に加入することを特別に認めている制度です。

特別加入できる人は、中小企業の事業主・一人親方・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。

出典:労働基準行政全般に関するQ&A 特別加入制度とはなんですか|厚生労働省

特別加入制度に加入する方法

特別加入制度を利用するためには以下の手続きが必要です。

事業主の場合

建設業の事業主は、会社の労働者数が300人以下である場合は特別加入制度を利用できます。
特別加入申請書(中小事業主等) を、各都道府県に設置されている労働保険事務組合支部の窓口に提出してください。
書類は所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出され、その承認を受けることになります。

一人親方の場合

建設作業を個人で行う人は一人親方に該当するため、特別加入制度を利用することが可能です。
(大工、左官、とび職人含む)
また、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、一人親方として特別加入することができます。

各都道府県にある労働局の承認を受けた、特別加入団体に申し込みを依頼すれば、特別加入団体が加入手続きを行ってくれます。

出典:労災保険の特別加入制度|一般社団法人全国労働保険事務組合連合会

労災と認められた場合の給付内容と申請の流れ

給付される労災保険の内容

労災と認定された場合、下記の労災保険が給付されます。

出典;労災保険給付の一覧|東京労働局

給付を受けるための申請の流れ

労災の発生から給付までの流れは以下の通りになります。

  1. 労働者が管轄の労働基準監督署へ請求書を提出する
  2. 労働基準監督署が調査する
  3. 労働基準監督署から支給・不支給の決定通知が届く
  4. 厚生労働省より指定口座へ振り込まれる

労災認定を受けるためには、給付内容別の請求書を労働基準監督署に提出する必要があります。
ただし、労災指定病院で治療を受け、療養補償給付・療養給付を請求する場合には、受診した病院への提出が必要です。

請求書に関しては、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
▽請求書のダウンロードはこちら▽
労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

あとがき

今回は、建設業における労災について、対象となる範囲や給付内容、一人親方の労災対応について紹介しました。

残念ながら、建設現場において、労災と認められる事故は毎年起こっています。予期せぬ怪我や病気に見舞われた際、気が動転してしまい、補償を受ける手続きを忘れてしまうケースがありますが、労災申請には給付別に2年もしくは5年の請求期限が設けられている保険もありますので注意しましょう。

出典:労災保険に関するQ&A 7−5 労災保険の各種給付の請求はいつまでできますか|厚生労働省

▽こちらの記事もおすすめ▽
もう悩まない!建設現場の「安全標語」作り方とポイントを具体的に解説

16