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建築図面の描き方や製図に必要な道具、速く描くコツをまとめてご紹介!

建築コラム

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建築図面の描き方

「CADは大体使えるけど製図のルールは知らないから、どう編集すればよいのか分からない」
このような疑問を持つ建設関係者は少なくありません。

建築図面の描き方を知らない場合、CADを活用する際にも自動処理に依存しすぎて、寸法違いなどの基本的なミスを起こす可能性があります。

今回は、建築図面の描き方や製図に使う道具、スピーディーに描くポイントを解説します。
現場に伝わりやすい図面を描くために、ぜひ参考にしてください。

関連記事:建築図面の見方(読み方)を徹底解説!初心者にも分かりやすいまとめ。

建築図面を描くために必要な道具

まずは建築図面の製図に必要な道具をいくつか紹介します。

平行定規

平行定規は横線を引く際に使用します。

固定方式はネジ式とレバー式の2種類です。
テンプレートで柱を描くことを想定した場合、レバー式のほうが効率的に作業できます。

勾配定規

縦線と斜め線を引く際に使う勾配定規。
角度を自由に調節できるため、木造住宅の屋根の勾配がついた線などを引くのに便利です。

製図用テンプレート

製図用テンプレートは、建築図面に植栽や家具、柱などを描き入れる際に必要な道具です。
効率よく建築図面を描くためには欠かせません。

三角スケール

断面が三角になっている三角スケール。
それぞれの断面には1/100~1/600までの縮尺の目盛りが刻まれているため、さまざまな縮尺の寸法を測れます。

三角スケールの長さは15cmと30cmが一般的です。
持ち運びに便利なのは15cmの三角スケール。一方、30cmのほうは製図の際に使いやすい長さです。
両方の長さの三角スケールを用意しておいても損はないでしょう。

消しゴム・字消し版

消しゴムは、細かい部分でも消しやすい小さなサイズのものが便利です。

字消し版とは、薄い板に型を抜いてある道具です。
図面の一部を訂正する時に、訂正部分に板を当て消しゴムを使い消します。
材質はステンレス製とプラスチック製の2種類ありますが、比較的薄くて図面を汚しにくいステンレス製の字消し版がおすすめです。

製図用シャーペン

通常のシャーペンとは形が異なり、定規との相性がよい製図用シャーペン。
建築図面をきれいに描くために欠かせません。

目的に合わせて使い分けるために、普通線(0.5mm)を描くシャーペンと太線(0.7mm)を描くシャーペンの2本を用意しておくとよいでしょう。
それぞれの替え芯も必要です。

ドラフティングテープ

ドラフティングテープは、紙を製図版に固定するために使います。
磁力で固定するステンレステープよりもズレにくいので安心です。

電卓

建築図面で間取りを計算する際などには、電卓が必要です。
計算式が表示されるタイプの電卓であれば、複雑な計算の場合でも見直しがしやすいでしょう。

建築図面の描き方6ステップ

ここでは、「平面図(間取りや躯体の位置を表現する図面)」の描き方を、6つのステップに分けて説明します。

1. 壁芯と柱の中心線の記入

はじめに壁芯と柱の中心線を描きます。

一般的に、柱は基本寸法である910mm(3寸)の倍数で割付けられています。
そのため、方眼紙のような910mm間隔の基準格子を描いてから柱や壁を配置すると分かりやすいでしょう。

2. 壁と柱の下書き線の記入

つぎは壁と柱の下書き線です。

柱の大きさは仕様しだいですが、柱の太さの半分で左右に割り振ります。
例えば、太さ150mmの柱の場合、中心から75mmずつ左右に振り分けましょう。

図面の中で使われる柱は、基本的に同じ大きさです。
ただし、1階から2階まで通っている通し柱は、やや太さのあるものが選ばれます。
通し柱とほかの柱の割り振りに注意しましょう。

3. 壁と柱の仕上げ線の記入

下書きを終えたあとには、壁と柱の線を清書します。
壁の厚みと柱の太さに気をつけながら、適切かどうかをチェックしましょう。

清書の際、柱の見えない大壁の場合は、柱と柱の面の部分でつなげます。
柱の見える真壁の場合は、柱の中心から少し動かしたところで線を引きます。

見えやすくするために、仕上げ線は太くはっきりとした線で描きましょう。

4. 開口部の記入

ドアや扉、窓といった開口部を描きましょう。
ドアを描く際は、開き勝手によって描き方を変えます。

扉には片開き戸や両開き戸、引違い扉などさまざまなものがあり、それぞれ表記の仕方が異なります。
そのため、描き分けに注意しましょう。

5. 設備機器と床仕上げの記入

製図用テンプレートを使いながら、キッチンの流しや換気扇、洗面台などの位置を描きましょう。
ソファやタンスなどの家具を置く位置が決まっている場合は、家具の落とし込みもします。

床に畳やタイルを用いる場合は、割付図面まで記載します。
よく必要になるケースは、玄関や和室です。
畳やタイルの敷き方は施工方法に影響する情報であるため、できるだけ分かりやすく描きましょう。

フローリングの場合、割付図面は不要です。

6. 基準線・寸法・室名・方位の記入

終わりに、基準線や寸法などの図面情報を記入すれば完成です。

寸法線は、柱の線を基準にして寸法を示す方法が一般的です。
部屋の縦と横の寸法や窓の寸法などは、図面で分かるように記入しましょう。

各情報を記載したあとは、扉の開き方などに誤りがないか見直します。

建築図面を描くスピードをアップさせるには?

製図のスピードアップのために大切なことは、できるだけ同じ要素でまとめて描くことです。

例えば、図面に壁や柱といった躯体の線を描く場合。
柱を一つひとつ丁寧に描いていると、定規を縦に動かしたり横に動かしたりして、動作が増えてしまいます。
一方、横の線だけをまとめて描いたあとに縦の線を一気に描けば、定規を動かす回数を減らせるため、作業スピードは速くなります。

また、躯体の線を描く際には壁の線をきれいに描くためにも、まずは柱だけをまとめて描き、そのあとに壁を描くようにするのがポイントです。
反対の順番で描いた場合、壁が柱を突き抜けたり柱まで届かなかったりすることがあるため、きれいな図面に仕上げにくくなります。

あとがき

三角スケールやドラフティングテープなど、製図に必要な道具を活用することで、建築図面を効率よく仕上げられます。
さらに素早く建築図面を描きたい場合は、今回お伝えしたポイントを参考にしてみてください。

建築図面に興味がある方にはこちらの記事もおすすめです。

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