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建築図面の種類まとめ!各図面のもつ役割、ポイントについても徹底究明

建築コラム

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建築図面の種類

1つの建物を建てるとき、その裏で実はとても多くの建築図面が必要とされています。
建物のデザインや間取りを表したものから、配管・配線の経路を示したものまで、図面の種類はまさに多種多様です。

細かく分類された建築図面について、分かりづらさを感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、多岐にわたる建築図面の種類を、分かりやすい解説とあわせて一挙にご紹介します。

建設に欠かせない建築図面

建物の建築には図面が必要不可欠です。
建築図面の存在によって、建築主や設計者、施工者、工事関係者の間で「どのような建物を建てるのか」という共通認識を持つことができます。

建築図面とは

建築図面とは、建物を建てるときにどのように構築するのかを示した図面を指します。

建築図面を作るためには、あらゆる角度からの検討が必要です。
そのため、1つの図面だけではすべての情報を収められず、1つの建物の建築につき数種類の図面が作られます。

図面の目的

製図に関する規格「JIS Z 8310 製図総則」において、図面の目的は「要求事項」を図面の使用者にきちんと伝えることであると定義されています。

参考:日本産業規格(JIS)|経済産業省 関東経済産業局

製図の企画では、図面の作成方法のほかにも、用紙のサイズ・様式、線、文字、図形の表し方、寸法などの共通のルールを設けています。
ルールに則った製図を行うことで、図面に込められた内容を正確に伝えることができるのです。

建築図面の種類を解説

建築図面を大別すると意匠図・構造図・設備図の3種類で、さらに細分化すると非常に多様なバリエーションとなります。

意匠図

意匠図によって重点的に表現するのは、建物の間取り・デザイン・仕様など、完成した建物の姿です。
建物を上から見た平面図・配置図や、横から見た立面図・断面図など、意匠図にはさまざまな角度からアプローチした図面が含まれます。

意匠図の種類は下記の通りです。

・平面図

建物の各階を水平に切断して、真上から見た間取り図です。

・配置図

建物の敷地の状態や、敷地のどこに建物が配置されているかを示しています。

・立面図

建物の外観を東西南北から真横に見た図面で、屋根・外壁・開口部などの位置や形状が分かります。

・断面図

建物を断面から切断し、内側を真横から見る図面で、上下階の高さ関係が分かります。

・案内図、全体配置図

建物の住所や位置を表す図面で、地名・包囲・周辺道路・目印になる建物などが記載されています。

・屋根伏図

屋根を上から平面的に見下ろし、屋根の形や仕上げなどを示した図面です。

・天井伏図

各室の天井を下から見上げた図面で、天井の位置・天井に使う材料・照明・エアコン・火災報知器などの配置が分かります。

・展開図

室内の中央から四方の壁を見る図面で、室内の壁面の形状を示します。
部屋の天井の高さや、窓・ドア・家具の位置などが分かります。

・求積図

敷地や建物の面積、床面積を求めるために使われる図面で、敷地求積図・建築面積求積図・床面積求積図があります。

・矩計図(かなばかりず)

断面図を詳細に表現した図面で、「くけいず」とも呼ばれます。
建物の地盤の位置や床・軒・窓の高さなど、高さ関係全般を表します。

・平面詳細図

平面図を詳細にした図面で、平面的な納まりや構造躯体、仕様、窓・入口の寸法などを示します。

・階段詳細図

階段の納まりを詳しく示す図面で、平面詳細と断面詳細を1枚の図面にしています。
段や手すり、踊り場などの有効寸法が分かります。

・建具表

建築物の開口部、内部の間仕切りなどに設ける建具の種類、形状、寸法、仕様などがまとめられています。

・雑詳細図

外壁や家具など、建物のディテールにあたる部分の構造を示します。

・外構図

建築物を除いた、敷地内の門扉・通路・駐車場・門灯・植栽・排水溝などの構築物を示します。

構造図

構造図には、建物を支える柱・梁・壁などの構造部材の配置や大きさ、接合部の形状などの、建物を実際に建てるための情報が示されています。

構造図の種類は下記の通りです。

・標準図

構造部材同士の納まりにおいて、標準的な納まりを記した図面です。

・詳細図

構造部材の納まり寸法や材料などを表す図面です。
標準図で示す納まりを除いて、特殊な部分や難解な部分を詳しく記載します。

・伏図

柱や梁、建物の基礎などの構造部材を、上から見下ろした視点で平面で表した図面で、構造部材のおおよその大きさが分かります。
伏図には基礎伏図・床伏図・小屋伏図などがあります。

・軸組図

柱や梁、建物の基礎などの構造部材を、垂直方向に切断した断面図で横から立体的に表しています。
軸組図は構造部分のみを断面にしていて、通り芯ごとに作られます。

設備図

設備図に示されるのは、給排水・電気・ガス・空調などの設備関係の仕様です。配管や配線の経路・位置・コンセントの数などが明示されています。

設備図の種類は下記の通りです。

・給排水衛生設備図

給排水経路や給排水箇所、衛生設備の位置などを示します。
また、上水道の材質や給水配管経路、蛇口の位置、排水管の経路やトラップの位置、トイレの位置なども記載されています。

・電気設備図

電気に関するすべての図面を指し、配線図と呼ばれることもあります。
平面図に、分電盤や各部屋への配線経路、ブレーカー位置・系統、コンセント、照明器具、エアコン、電話、通信などの各設備の位置が記載されています。

・ガス設備図

ガスの配管経路や配管径、接続方法、引き込み経路などが示されています。

・空調換気設備図

エアコンの室内機・室外機、換気扇の配管経路・位置を示す図面です。
また、換気扇の換気能力やダクト経路なども記載します。

設計のステップで作成する3つの建築図面

建物の設計では、設計の各段階に応じた図面が作られます。
設計の初期のステップから完成までに作られる図面を紹介します。

基本設計図

基本設計図は、設計の初期段階で作られます。

建築主の要望に応じて決まるデザインやコンセプトをもとに、建物の間取り・構造・材料・設備・外観・内装などの必要な要素をすべて網羅した図面です。
また、法規制や環境などの条件も考慮されています。

実施設計図

基本設計図に基づき、より詳細に作られる図面です。
見積の作成はこの実施設計図をもとに行われ、実際の施工も実施設計図が土台となります。

確認申請書類

建物の建設前に役所や検査機関に確認申請をする図面で、設計図が建築基準法に則っているかの確認のために使われます。
新築だけではなく、増改築の申請時にも必要です。

施工図

実施設計図に基づいた、施工のための実践的な設計図面です。
工事関係者に対して、必要な情報を分かりやすく伝えるという役割をもっています。

竣工図

竣工した建物を正確に表した図面です。
工事中に設計や配管・配線の変更をすることがあるため、竣工図は施工図と異なったものになる場合が少なくありません。

あとがき

今回は、建物を建てる際に欠かせない建築図面の種類を詳しくお伝えしてきました。

ルールに則って正確さを心がけることで、建物の建設に関わるあらゆる人にとって分かりやすい図面となります。
多種多様な図面に込められた内容を読み取り、建物のスムーズな建設に生かしましょう。

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