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建設業にVEの活用を!VEの意味やメリットは?なぜ建設業に必要なの?

建築コラム

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建設業のVE

建設業の実務にあたっている時に、「VE案を出してください」などというフレーズに触れたことはありませんか?

単なるコスト・ダウンとは異なり、VEは品質や機能の維持にも目を向けた考え方です。アメリカで開発されたこの手法は、1960年ごろ日本に導入され、以来あらゆる業種で活用されてきました。とりわけ、大規模な仕事の多い建設業にとっては、VEを役立てることは重要です。

本記事では、VE、特に建設業におけるVEについて、初めてこの言葉に触れた方にも分かりやすくお伝えしていきます。受注力や顧客満足度のアップに、VEを活かしてみてはいかがでしょうか。

知っておきたい建設VE

VEとは「バリュー・エンジニアリング(Value Engineering)」の略語で、アルファベット通りに「ブイイー」と読みます。製品やサービスが持っている価値を、機能・品質面とコスト面のどちらも考慮しながら、総合的に優れたものとなるように追求する手法が、VEです。

今日、製造業やサービス業のみならず建設業界においても、このVEの考え方が役立っています。

建設VEとは

建設VEとは、「建物や施工方法、維持管理の機能や品質は維持しながら、コストの削減をすること」です。

「この建物に本当に必要な機能は何か?」
「この技術ではなく、より優れたあの技術を使おう!」
このように、機能を厳選したり優良な技術を採用したりするなど、組織的な努力によって価値の向上を目指します。

なお、建設VEでいう「コスト」とは、イニシャルコスト(建設費などの初期費)だけではありません。ランニングコスト(水光熱費などの維持費)も含めた「ライフサイクルコスト(初期費と維持費を総合的にとらえたコスト)」を指しています。

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VEとCDの違いは?

では、VE(バリュー・エンジニアリング)とCD(コスト・ダウン)はどう異なるのでしょうか?

CDは、性能や価値の低下は仕方がないものであるとして、コストを下げようという考え方です。それに対してVEは、性能や価値を低下させることなく、コストを抑えようとする方法です。

発注者と受注者、双方向にメリットをもたらすVE

民間の会社が、自社の持つ技術を使った工法を提案しても、メリットのなかった従来。しかし、VEの提案制度によって状況は変わりました。

VEによって独自の技術を活かした提案をすることで、発注者側には「コストの低減」というメリットが生まれます。また、受注者側にとっては、受注のチャンスが増えたり、自社の技術への高評価を受けられたりする利点がもたらされます。

VEは、発注者と受注者の両方にとって、メリットがあるのです。

なぜ建設VEが必要なのか

VEの手法は製造業やサービス業などでも使われています。そして、建設業は他業種とは異なる特性を持つために、とりわけVEが必要であるとされています。

その建設業界の特性の中でも、代表的なものを3つ見ていきましょう。

1.時間や労力の膨大さ
2.様々なニーズへの対応する工夫の必要性
3.外部のコストや影響を抑制する工夫が不可欠

時間や労力の膨大さ

建設業では、案件の企画や建設作業、建物の提供など様々な段階を経ています。その全ての段階でかかる時間や労働力は、他業種と比べると非常に膨大です。

しかし、企画や設計、施工など、どの段階でもVE提案を用いることができます。建設VEの手法の使用によって、効率的で質の高い仕事を行うことができるのです。

様々なニーズへの対応する工夫の必要性

建設業者や顧客だけではなく、協力会社や仕入れ先、近隣住民など、不特定多数の利害関係者が存在する建設業界。それぞれの立場が持つ、多様なニーズに対応する工夫が欠かせません。

そこで活用したいのがVEです。多角的に求められる品質を確保しつつコストの低下も目指すため、利害に関わる人たちのニーズに対応することができます。

外部のコストや影響を抑制する工夫が不可欠

建設業界は、小さな建物の建設からインフラ整備まで、様々な規模の案件に取り組みます。それゆえ、地域社会や環境などに与える影響の範囲は広大です。また、外部のコストも多くかかってきます。

自社オリジナルの優れた技術を使用することで、広範囲に及ぼしかねない悪い影響を抑え、費用対効果のアップが可能となります。そうした点から、VEの考え方は建設業界に必要なのです。

どの段階で建設VEの提案を行うべきか

建設VEの提案は、企画や計画、設計、施工、維持管理など、どの段階にあっても行えます。その上で、国土交通省が推進しているのは次の3段階です。

1.設計VE(設計の段階)
2.入札時VE(工事入札の段階)
3.契約後VE(施工の段階)

参考:公共事業コスト構造改革プログラム|国土交通省

各段階において、それぞれ検討される項目は異なります。そのため、どの段階でのVEが最良かということは一概にはいえません。

しかし、詳しい設計が完成してからの大胆な見直しには、大きな労力を要します。そう考えると、より早い段階においてVEを検討する方が効率的であるといえるでしょう。

あとがき

本記事では、建設業におけるVEについてお伝えしてきました。建設VEの意味やCDとの違い、VEのメリット、VEが必要な理由、VEを提案する段階など、ご理解いただけたのではないでしょうか。

品質や機能を保ちながら、コストの低減を目指すVE。大きなコストのかかる建設業だからこそ、大切にしたい視点です。コストと価値についてのバランス感覚を、常に意識して業務に臨みたいですね。

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