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建設業こそ、給与についてのルール「給与規程」が大切!働き方改革関連法で必要な見直し点にも言及

働き方

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「給与規程」のイメージ

給料日って待ち遠しいですよね。あなたが毎月受け取っている給与は、実は会社が定めた「給与規程」というルールにのっとって支払われているのをご存じですか?

そのルールは、労働基準法にもとづきながらも、各社が必要な項目やプラスアルファの項目を記しているため、その内容はバリエーションに富んだものとなっています。

特に建設業は勤務形態が複雑であることが多いので、しっかりとした「給与規程」の存在はとても重要です。

また、2018年に成立した「働き方改革関連法」によって、「給与規程」の見直しや変更が必要な会社も少なくありません。

この記事では、建設業の「給与規程」の役割や作成における注意点、働き方改革関連法で必要になる見直し点についてお伝えしていきます。

給与についての社内ルール

常時10人以上の従業員が働いている会社では、「就業規則」を作成し、労働基準監督署へ届け出ることが、労働基準法により義務づけられています。

しかし、従業員数の規模にかかわらず、賃金や労働時間、安全衛生管理についてのルールをあらかじめ「就業規則」として決めておかないと、労使間(労働者個人と使用者、または労働組合と使用者のあいだのこと)のトラブルの種となってしまいます。

この「就業規則」には、「絶対的必要記載事項」という必ず記載しなければいけない項目があります。その中には、つぎの4つの事項がふくまれます。

・賃金の決定
・計算及び支払の方法
・賃金の締切り及び支払の時期
・昇給

こうした、「就業規則」に記された給与についての社内ルールのことを「給与規程・賃金規程」と呼びます。

なお、「就業規則」は従業員が見やすい場所に掲示するか交付するなどして、広く知らせることが義務づけられています。気になる方はチェックしてみてください。

そもそも「賃金」って何?

「賃金」とは、ふつう「給料」のことを指します。しかし、「労働基準法 第11条」ではつぎのように定められています。

この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

労働基準法 第11条|e-Gov 法令検索

この定義によると、「賃金」は、直接的な労働の対価として支払われるものだけではないのです。これ以外に、就業規則で決められている役職手当や時間外労働の割増賃金、家族手当、住宅手当などの各種手当や、任意的・恩恵的ではない賞与(ボーナス)や退職金もふくまれます。

つまり、「就業規則」の「給与規程」に支給条件が規定されているものは、すべて「賃金」とみなされるということがいえます。ですので、経営者・従業員にかかわらず、心にとどめておきましょう。

「給与規程」に記載すべき項目

「給与規程」を作成する際には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」に気をつける必要があります。「就業規則」に必ず記載しなければいけない項目が「絶対的必要記載事項」です。また「相対的必要記載事項」は、制度があれば必ず記載しなければならない項目です。

「給与規程」にかかわる「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」は、つぎのとおりです。

絶対的必要記載事項

1.始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
2.賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

相対的必要記載事項

1.退職手当に関する事項
2.臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
3.食費、作業用品などの負担に関する事項

絶対的必要記載事項」として記載する項目

ここでは、「給与規程」に必ず記載しなければならない項目をひとつずつご説明していきます。

・適用範囲

給与規程の適用範囲を明示します。

・賃金の構成

賃金を構成する要素、種類を記載します。

・給与の計算方法

賃金の計算方法を明記します。年俸制、月給制、日給月給制、日給制、時給制など、実際に運用する賃金形態はすべて記載が必要です。また欠勤、遅刻、早退、途中退職・入社の事例や、休職者の計算方法も書いて載せます。

・手当

「家族手当」「通勤手当」「役付手当」「職能手当」「住宅手当」などの各種手当を明記します。

・割増賃金等の計算方法

「時間外労働」「深夜労働」「休日労働」など、割増賃金が発生する労働の条件と、その計算方法を記載します。

・給与の締切日および支払日

賃金の計算期間、支払日などを定めます。「毎月〇日」のように支払日を定め、支払日が休日だった場合の繰り上げや繰り下げも明記します。また、残業手当など変動する賃金の集計期間も書き記します。

・支払方法

原則、現物支給は認められていません。そのため、通貨での支払いとなります。ここでは、銀行振込など支払方法について記します。また所得税、社会保険料など控除する項目がある場合は、ここに載せます。

・昇給

昇給がおこなわれる評価基準や、その時期を明記します。

「相対的必要記載事項」として記載すべき項目

賞与(ボーナス)や退職金など臨時の賃金や最低賃金についての事項は、「相対的必要記載事項」(制度があれば必ず記載しなければならない項目)として記します。

・賞与(ボーナス)や臨時の賃金に関する事項

賞与(ボーナス)については、支給対象・支給回数・支給時期などを記載します。労働基準法によって義務づけられているものではないので、原則として自由に定めることができます。「業績によっては支給しない」ことがある旨も明記しなければならなりません。

・退職金

支給対象、支給要件、支給率の算定などを取り決めます。

・最低賃金に関する事項

最低賃金に関する取り決めがある場合は明示します。

ここまで、「給与規程」に記載すべき内容についてお伝えしてきました。「給与規程」には、あらゆる事例を想定した条文を策定する必要があります。そのため、作成の際には、社労士などその道のプロに相談することをおすすめします。

建設業は特に注意すべき「最低賃金」

建設業の技能労働者は、「日給制」「日給月給制」を採用しているところも少なくないと思います。そのような場合に注意すべきポイントとして、「最低賃金」を下回らないか、という点が挙げられます。

勤務形態が複雑な建設業においては、勤怠管理を適切におこなっていないと「知らない間に最低賃金を下回っていた!」というケースもありえます。最低賃金を下回った期間があると、使用者(経営者)は労働者に対してその差額分を支払う必要があります。

「給与規程」をしっかりと作ることはもちろん、労務管理の適切な実施もとても重要なのです。

各都道府県の最低賃金は、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」にてご確認ください。

「働き方改革関連法」施行後の建設業

「働き方改革関連法」が成立したのは、2018年6月29日のこと。

「給与規程」に影響があるのは、「時間外労働の上限規制」(建設業界は2024年3月31日まで猶予)と「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金」(2023年4月施行)です。

とりわけ後者は、月60時間超の割増賃金に関する項目を追記する必要があります。そのため多くの中小企業は、2023年に向けて、「就業規則」の変更と同時に「給与規程」の変更をおこなわなければなりません。

これまで建設業界の一部では、適切な労務管理がなされていませんでした。そのことが、現在入職者の減少という課題となって明らかになっています。「安心して働ける業界」をつくるためにも、地に足をつけて実施したい変革といえるでしょう。

あとがき

今回は、建設業の「給与規程」の役割や作成における注意点、働き方改革関連法で必要になる見直し点などについてお伝えしてきました。

労使間のトラブルを回避するため、また働きがいのある職場づくりのため、あらためて「給与規程」に注目してみてはいかがでしょうか。