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すぐに分かる!住宅性能評価書について知っておきたい基礎知識・メリット・デメリットまとめ

建築コラム

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住宅性能の評価をおこなう女性のイラスト

「住宅性能評価を受けた方がいいですよ」

建設業界に縁する中で、こんなフレーズを聞いたことはありませんか?

しかし、住宅性能評価がどんなものなのか、受けることでどんなメリット・デメリットがあるのか、詳しくはわからないという人もいるのではないでしょうか。

今回は、「住宅性能評価書」について知っておきたい基本的な情報をまとめました。

住宅性能評価書とは?

「住宅性能評価書」とは、住宅の設計や施工、性能について一定の基準で評価し、その結果を記した書面のことをいいます。

住宅性能評価の申し込みは、住宅を売る人、買う人、仲介する人など、誰でもおこなうことができます。ただし、計算書や設計図書などさまざまな添付書類をそろえる必要があるため、設計会社や建設会社に相談するケースが一般的です。

評価のための検査をおこなうのは、国土交通大臣等に登録された第三者評価機関です。公平な立場である評価機関によって、住宅の性能に等級がつけられます。

住宅の性能を目に見える形に表すこの制度は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(平成11年6月23日法律第81号)によって仕組みがつくられました。

参考:住宅の品質確保の促進等に関する法律|e-Gov法令検索

「住宅性能評価書」ができたことで、建設の専門家ではない一般の人にも、住宅の性能について理解がしやすくなりました。また、複数の住宅を性能面で比較する、よい材料となっています。

住宅性能評価書の種類は2つ

「住宅性能評価書」には、つぎの2種類があります。

・設計住宅性能評価書
・建設住宅性能評価書

ひとつずつご説明していきます。

設計住宅性能評価書

まずは「設計住宅性能評価書」。これは、設計段階の図面から、その住宅の性能の評価を記した書類です。

この書類を作成したい場合は、新築住宅の請負人や注文者から、登録住宅性能評価機関に評価を依頼します。

ここで、注意したいことがあります。それは、「設計住宅性能評価書」は、設計段階で検査を実施した上で発行される書類であるため、新築ではない既存の住宅に対しては、作成を依頼することができないという点です。

建設住宅性能評価書

つづいて、「建設住宅性能評価書」に移りましょう。

「建設住宅性能評価書」は、図面のとおりに施工がおこなわれているかについて、実際の住宅を検査して作成される書類です。住宅の検査は、施行中と竣工時に数回にわたって実施されます。

こちらの書類の方は、新築住宅と既存住宅のどちらについても作成することができます。

新築住宅の「建設住宅性能評価書」を作成するために必要なのは、「設計住宅性能評価書」の原本もしくはコピーです。なので、まず先に「設計住宅性能評価書」を作成しなければなりません。その上で、「建設住宅性能評価書」の作成を依頼します。

他方、既存住宅のケースでは、「設計住宅性能評価書」の作成プロセスを省いて、「建設住宅性能評価書」の作成依頼をすることができます。

住宅性能評価書で評価されるのは10分野

「住宅性能評価書」では、10の分野について評価がおこなわれます。10分野の中にはそれぞれさらに項目があって、住宅の性能を細かく評価しています。

住宅性能評価書の10分野

1.構造の安定…地震発生時の建物の倒壊のしにくさなど
2.火災時の安全…火災の際の避難のしやすさ・燃え広がりにくさなど
3.劣化の軽減…経年劣化に対する柱や土台の頑丈さなど
4.維持管理・更新への配慮…排水管・水道管などの管理の容易さなど
5.温熱環境・エネルギー消費量…冷暖房の効果を高める断熱性能など
6.空気環境…住宅に含まれるホルムアルデヒドについてなど
7.光・視環境…窓の大きさについてなど
8.音環境…共同住宅における音の広がりにくさなど
9.高齢者等への配慮…段差があるかないか、階段の勾配はどれくらいかなど
10.防犯…外部からの進入を防ぐ対策がなされているかなど

評価の結果は等級や数値で表され、その数字が大きいほど、高い性能であることを意味します。

住宅性能評価書の4つの必須評価項目

先にご紹介した10分野のうち、必ず評価してもらわなければならない項目は、「構造の安定」「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境・エネルギー消費量」の4分野です。

これらの4分野は、特に重要な評価項目であるということに留意しましょう。

住宅性能評価書のメリット、デメリット

「住宅性能評価書」を取得すると、その住宅の性能について客観的に理解することができます。しかもそれだけでなく、いくつかのメリットが生まれます。

ただし、メリットの裏側にはデメリットがあるのも世の常。ここでは、「住宅性能評価書」を作成すると生まれる、メリット・デメリットの両方についてお伝えしていきます。

取得のメリット

「住宅性能評価書」を取得すると生まれるメリットは、主につぎの4つです。

・トラブル時に専門機関に紛争処理を申請できる

「建設住宅性能評価書」が発行された住宅であれば、トラブルの発生時に、国土交通大臣指定の「指定住宅紛争処理機関」に、紛争処理を申請することができます。

「指定住宅紛争処理機関」とは、住宅品確法に基づき、国土交通大臣に指定された弁護士会による「裁判外紛争処理機関」のこと。こちらに申請することで、裁判をおこなわずに事態を収拾してもらえます。

裁判と比べるとすばやく問題を解決できる、費用を抑えられる(紛争1件あたり1万円)など、「建設住宅性能評価書」を取得した人にとって大きな利点があります。

・地震保険料の割引が適用される

先にご紹介した「住宅性能評価書」の評価項目のひとつ「構造の安定に関すること」では、耐震性能を3段階で評価しています。

この耐震等級の評価に比例して、地震保険料の割引率が決められています。

・耐震等級3…30%の割引率
・耐震等級2…20%の割引率
・耐震等級1…10%の割引率

地震保険料は都道府県によって異なります。また、地震が増加している近年は、保険料は値上がり傾向にあります。

耐震等級に比例して保険料の割引が適用されるということは、住宅の所有者にとって大きなメリットだといえるでしょう。

・住宅ローンなどで優遇が受けられることがある

「住宅性能評価書」を取得すると、住宅ローンで優遇が受けられることもあります。こちらも住宅を購入する人にとっての利点となります。

具体的には、一般の金融機関の住宅ローンに加え、「住宅金融支援機構提携フラット35」の優遇が受けられることなどが挙げられます。

優遇を受けることができる条件は金融機関によって異なるので、実際にローンを検討する場合は、担当者に相談するのがよいでしょう。

・新築住宅を購入する際に安心が得られる

「住宅性能評価書」を取得すると、その住宅の性能について詳しく理解することができます。そのため、他の住宅と比較検討して購入することや、自分の求める住宅を手に入れることが可能になります。

つまり、「住宅性能評価書」を発行することによって、安心して新築住宅を購入することができるのです。

取得のデメリット

「住宅性能評価書」取得の際に生じるデメリットには、どんなものがあるのでしょうか。

・費用がかかる

詳しくは後述しますが、取得には少なくとも10万円以上の費用がかかります。これは、決して安い金額ではないため、デメリットであるといえるでしょう。

・評価項目の相反関係

「採光のために窓を大きくしたら、耐震評価が下がった」など、ある項目の評価をよくしようとすると、別の項目の評価が悪くなるという、相反関係が発生します。

取得の際には、評価を依頼する項目について総合的に判断する必要があるでしょう。

・トラブル発生の可能性はゼロにはできない

住宅の性能について評価を得られたとしても、建設会社や近隣住民とのトラブルが起きる可能性をゼロにすることはできません。

この点も十分に理解しておく必要があります。

住宅性能評価書の取得にはいくら必要?

「住宅性能評価書」を取得する際にかかる費用は、10~20万円ほどが一般的です。

その住宅が一戸建てなのか集合住宅なのかなど、様式によっても費用は異なります。また、評価を依頼するのが必須の項目だけか、10分野すべてなのかなどによっても、費用は変わってきます。

取得の費用を抑えるには、「必要ではない項目の調査は依頼しない」という方法が有効です。さらに、取得のタイミングが住宅の売却時であるケースには、買主にも費用の負担を依頼するという交渉も、場合によっては可能となるでしょう。

あとがき

今回は「住宅性能評価書」についてお伝えしてきました。

評価書の取得には少なからず費用がかかってしまいますが、住宅の所有者は大きなメリットを受けることができます。

お客様の「家を購入しようかな」という購買意欲を高めるために、「住宅性能評価書」についての理解を深めてみてはいかがでしょうか。