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コロナ渦の影響は?2020年度建設会社の売上高と現場の変化

建築コラム

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コロナ禍だけど・・・建設会社の業績大丈夫?

コロナ禍によって建設会社の売上高や年収、現場の状況はどのような変化があったのでしょうか。2018年と2020年の売上高の比較、倒産の件数、年収などから今後の見通しをお伝えします。

大手建設会社、2018年と2020年売上高比較

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、あらゆる業界の売上高が落ち込みました。緊急事態宣言の発令、予定されていた東京オリンピックの延期などがあり、建設業界に携わる方も直接的に業務に影響があったのではないでしょうか。

まずは建設会社上位10位の2018年度と2020年の売上高を比較してみます。

2018年度建設業界売上高ランキング

第1位 大和ハウス工業 4兆1435億円
第2位 清水ハウス   2兆1603億円
第3位 大林組     2兆396億円
第4位 鹿島建設    1兆9742億円
第5位 清水建設    1兆9949億円
第6位 大成建設    1兆6508億円
第7位 大東建託    1兆5911億円
第8位 竹中工務店   1兆3536億円
第9位 住友林業    1兆3088億円
第10位 長谷工コーポレーション 8909億円

2020年度建設業界売上高ランキング

第1位 大和ハウス工業 4兆3802億円
第2位 清水ハウス   2兆4151億円
第3位 大林組     2兆730億円
第4位 鹿島建設    2兆107億円
第5位 大成建設    1兆7513億円
第6位 清水建設    1兆6982億円
第7位 大東建託    1兆5862億円
第8位 竹中工務店   1兆3520億円
第9位 住友林業    1兆1040億円
第10位 長谷工コーポレーション 8460億円

大手建設会社の場合、第1位から第10位まで順位は固定されています。売上高についても大きな変化はありません。それどころか、第4位までは2018年よりも売上高が若干好調という結果です。この数字を見る限りは、大手建設会社については2020年度段階ではコロナ禍による影響があったとはいえません

大手建設会社は好調でも、小・零細規模の倒産は増加

小売業、観光業、飲食業と比較すると、当初は影響が少ないとされていた建設業界ですが、2021年に入り、小・零細規模のコロナ破たんが目立ち始めています。その原因はコロナ禍により予定していた工事の中止。その後、新規案件を受注できずに経営が悪化して倒産に至るケースが多いです。例えば、飲食店や小売店の店舗のリニューアルなど、小規模な案件がとん挫した結果といえます。

ただし、コロナ禍のために、都市の再開発など大きな公共事業がとん挫してしまう事例はまだありません。そのため、今のところ、大手建設会社に関しては、業績は好調です。今後についても、オリンピック関連の工事が次々と完工していますが、その後の工事案件受注の見込みがあり、緩やかに下降するものの、ある程度の好調は維持できると考えられています。

コロナ禍によって、大手と小・零細とで明暗が分かれ、二極化が進み、残念ながら、さらに大きくその差は開きました。今後の見通しについても、小・零細は厳しいと言わざるを得ません。

これから建設業に携わる方にも、就職先を選ぶ際、このことは大きなポイントといえそうです。

新たなスーパーゼネコン!ハウスメーカーの強みとは?

コロナ禍にあってもしばらくは安泰といえそうな大型案件、公共工事を請負う大手建設会社。もう1点、現在の状況として注目すべきは、売上高第1位の大和ハウス工業、第2位の清水ハウス、第7位の大東建託など、ハウスメーカーの存在です。

従来のスーパーゼネコンといえば、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社。しかし、ここ10年あまりで、大和ハウス工業や清水ハウスに追い抜かれ、後塵を拝しています。最早これらのハウスメーカーが新たなスーパーゼネコンといってもよいでしょう。

大型のビルや公共施設の建設を主に行っている従来のスーパーゼネコンですが、売上は大きいものの、標準化しにくく、常に一点ものであるため、人件費や資材において無駄が生じやすいです。バブル崩壊時からの業績悪化の影響も続いています。

その点、ハウスメーカーは、資材の規格化や大量生産が強み。業績も比較的安定しているため、中堅ゼネコンに対するM&A効果により、ついに従来のスーパーゼネコンをしのぐに至りました。

全産業の平均よりも上!2021年度建設業界の年間現金給与額は521万2000円

大手に関しては今のところコロナ禍による影響は小さい建設業界ですが、他の業界と比較するとどうなのか。働く人にとって安定的な収入を望める業界なのか。気になるところですね。

ヒューマンタッチ総研が行った厚生労働省「毎月勤労統計調査」を基にした統計によると、調査産業全体の年間現金給与額は500万9000円、製造業は500万4000円。コロナ禍の影響により、前年より減っています。それに対し、建設業は減ることなく、521万2000円。給与レベルは他の業種と比較して安定しています。

ただし、年間労働時間は製造業が1927時間、情報通信業が1920時間なのに対し、2036時間と100時間以上多い建設業。今後もライフワークバランスが大きな課題といえそうです。

コロナ禍を経て建設業界の現場ではIT化が進む?

コロナ禍の影響はしばらく続くと考えられます。現場では業務の効率化や人材不足解消が求められており、注目されるのは業務のIT化です。

JAGフィールド株式会社が行った建設業界に3年以上働いている方を対象としたアンケートによると、「新型コロナウイルスの影響を受けて会社はIT化を進めていますか?」という質問に、半数近くの48.2%が「はい」と回答しています。

参考:新型コロナウイルスによって 建設業界はどう変化したか?|JAGフィールド株式会社

実際に、コロナショック後の1年あまりで、業務のIT化を進めた企業は少なくないようです。IT化は三密を防ぎクラスターを予防するために導入されましたが、業務の効率化や人材不足解消にもつながるでしょう。そうした理由からも、今後、多くの企業でIT化は進んでいくと考えられます。

あとがき

コロナ禍を経て大手建設会社は、尚業績が好調。年収についても他の業種のような下降はありません。しかし、規模の小さな工事を請負う小・零細企業は工事の中止により、倒産する企業も出てきています。現場ではコロナ禍によってIT化が進み、今後業務に変化が見られる見込みです。