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建設国保とは?加入の方法と保険料、市町村国保との比較とメリットとデメリットを解説

建築コラム

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国民健康保険よりメリット大!? 建設国保 全国建設工事業国民健康保険組合

建設国保とは国民健康保険の一種で、建設業に携わる方のみ加入できます。加入にはどのような条件があるのか、保険料はどのように算出されているのか、また、市町村国保とはどのように異なるのでしょうか。

建設国保に加入する際に知っておくべきことと、メリットやデメリットを詳しく解説します。

「建設国保」とは、国民健康保険の一種

「建設国保」とは、「全国建設工事業国民健康保険組合」による国民健康保険の一種です。国民健康保険には以下のように「市町村国保」と「職域国保」2種類があります。

・市町村国保

自営業の方や無職の方、高齢者の方が加入する健康保険。日本では人口の4分の1以上に当たる人が市町村国保加入者です。市町村、特別区が行っており、企業の健康保険組合や職域国保など、他の組合に加入していない方が加入しています。

・職域国保

同業同種による健康保険組合。建設だけではなく、医師、弁護士、美容師など、法人や個人事業主の方が加入しています。

建設国保は職域国保にあたり、全国の建設業に携わる方、大工、とび、土木、造園、左官、板金といった職種の方が加入者です。

「建設国保」の加入資格

建設国保に加入するにはある条件が設けられています。加入者本人と家族として加入する場合、それぞれを解説いたします。

・加入者本人の場合

個人事業所や法人や株式会社で常時5人以上の従業員を雇用している場合は、健康保険(協会けんぽなどの被用者保険)と厚生年金に加入することが義務になっています。そのため、原則として建設国保には加入できませんので注意してください。

ただし、現在建設国保に加入している方が常時5人以上の従業員を雇用した場合は、健康保険被保険者適用除外の承認を受けることで引き続き建設国保に加入し続けられます

・家族として加入する場合

組合員の方と同一世帯で、75歳未満の方。学生の方で修学のために別世帯となっている場合は、加入可能です。

「建設国保」保険料の算出方法

建設国保の保険料は、公式ホームページに保険料シミュレーションがあり、それを使えば簡単に算出できます。

あなたの保険料を計算します|建設国保

保険料シミュレーションのページを見ればよく分かりますが、建設国保の保険料の算出方法には以下のようなポイントがあります。

組合員(本人)の保険料は年齢と就業実態で決まる

・年齢の区分

A区分(20歳未満)、B区分(30歳未満)、C区分(40歳未満)、D区分(55歳未満)、E区分(65歳未満)、F区分(65歳未満)

・就業実態

第1種組合員(法人事業所の事業主)、第2種組合員(法人事業所の従業員)、第3種組合員(個人事業所の事業主)、第4種組合員(個人事業所の従業員)、第5種組合員(1人親方)

家族は組合員(本人)の就業実態で一人頭の金額が変わる

家族の一人頭の金額は組合員の就業実態で金額が異なります。本人の年齢や組合人の年齢は金額には関係ありません。

家族は年齢で金額は変わらない

家族の場合、基本的には年齢で保険料は変わりません。ただし、40歳~64歳までの介護保険第2号被保険者に当たる人がいる場合、1人につき一ヶ月2,900円加算されます。

最も負担が重いのが法人事務所の事業主で年齢が65歳以上の方で、本人のみで月額24,000円。個人事業主で20歳以下の方が最も負担が軽く、本人のみで月額7,200円です。

「建設国保」の保障内容

基本的には、建設国保の保障内容は、市町村国保と比較して大きな違いはありません。義務教育前は2割負担、義務教育就学以降70歳未満が3割負担、70歳以上が2割負担です。出産育児一時金42万円も変わりません。ただし、以下の3点は内容が異なります。

傷病手当金を1日につき4,500円支給

・出産手当金を1日につき4,500円支給

組合員の死亡時に10万円、家族の死亡時に7万円支給

市町村国保では傷病手当金と出産手当金はありません。死亡時に支給されるお金は、市町村によって異なりますが、建設国保よりも金額は安いです。

「建設国保」のメリット

建設国保には市町村国保にはないメリットがありますので、ご紹介します。

・一定以上の所得なら保険料は国民健康保険よりお得!

国民健康保険の場合は、加入者の所得によって保険料が異なります。もちろん、収入のない方の場合は、かなり金額が抑えられますが、所得が増えればそれだけ保険料は高額になってしまいます。

その点、建設国保の場合は、金額は年齢と就業実態で決定するため、所得が高ければ高いほど保険料はお得です。

・傷病手当金、出産手当金など保障内容が充実

建設国保には市町村国保はない傷病手当金、出産手当金があり、死亡時に支払われる葬祭費も金額が高いです。

・現役の方の収入で成り立っているため、収支が安定している

市町村国保の加入者には無職の方が少なくありませんが、建設国保は現在現役で働いている方の収入で成り立っているため、収支が安定しています。

「建設国保」のデメリット

建設国保には以下のようなデメリットもあります。

・家族分は人数分すべて組合員の負担となる

建設国保では、家族分は組合員の就業実態に合わせて人数分の料金が必要になります。所得や地域は関係なく料金は定額です。そのため、家族の人数や所得、住んでいる地域によっては割高になってしまうこともあります。

・従業員の方の負担が大きい

健康保険(協会けんぽなどの被用者保険)と異なり、法人や会社が負担せずにすべて被保険者が支払うため、従業員として働いている方にとっては負担が大きい場合があります

あとがき

建設国保は同業同種で支え合う制度です。市町村国保と比較するとメリットは多いので、1人親方の方や個人事業主として働いている方には加入がおすすめといえます。

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