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高所の建設現場でゴンドラが活躍!安全のため設置時・利用時に気をつけたいポイントは?

建築コラム

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高所作業で活躍するゴンドラ

高所での作業に活躍する設備のひとつ、ゴンドラ。ビルのリフォームを行う際、居住者の環境を損なわずに作業できるメリットなどから、近年ゴンドラの需要が高まっています。

ここでは、建設作業で使われるゴンドラの概要や種類、操作できる人、利用する上で注意したいポイントなどについてご紹介していきます。

建設現場のゴンドラとは?

建設現場で使われるゴンドラとは、作業用の足場の一種で、昇降を可能にする装置を取りつけたものです。ゴンドラはワイヤーロープで吊り下げられ、電気の力で昇降します。

ゴンドラが利用される現場として最も多いのは、建築物の外壁工事です。ゴンドラの使用によって、鉄やネットなどの足場で建築物を覆うことなく作業が可能に。そのため、ビルや集合住宅などでの作業時に、居住環境へ与えるストレスを減らすことができます。

ただし、高所での作業に使用するゴンドラの持つリスクは大きいといえます。安全性の確保のため、事前に十分な調査を行い計画を立てましょう。また、導入時の条件によっては労働基準監督署への書類の提出などが必要となる場合があるため、ご注意ください。

建設現場のゴンドラの種類

設置場所や使う目的などによって、条件に合った形状・構造のゴンドラを利用します。用途別に分けると、ゴンドラには次の2つのタイプがあります。

・常設タイプのゴンドラ
・可搬タイプのゴンドラ

それぞれのゴンドラについて見ていきましょう。

常設タイプのゴンドラ

常設タイプのゴンドラは、ビルの屋上などに常に設置されています。主に、窓ガラスの清掃作業のための足場として利用します。

可搬タイプのゴンドラ

一方、作業の期間中のみ臨時に設けられるのが可搬タイプのゴンドラです。設置、解体、撤去が比較的短い時間でできて、運搬が可能となっています。

可搬タイプのゴンドラが使われるのは、ビルの新築やリフォーム、清掃、塗装などの作業の実施時です。作業が終わるとこのゴンドラは解体、撤去されます。

ゴンドラの操作を行う人

ゴンドラの操作は誰でも行えるわけではありません。下記の「ゴンドラの業務についての特別な教育」を受けた資格者だけが、ゴンドラを操作することができます。

ゴンドラ業務に関する特別教育の内容

1.ゴンドラについての知識
2.ゴンドラ操作のために必要な電気についての知識
3.関係法令
4.ゴンドラの操作と点検
5.ゴンドラ操作のための合図

また、先ほどご紹介した可搬タイプのゴンドラについては、操作に際して共同作業が多くなります。そのため、作業を行う全員が資格を保有していると安心です。

ゴンドラの設置・作業を安全に行うポイント

ゴンドラを安全に利用するために留意したいポイントを、設置と作業のタイミング別にまとめました。

ゴンドラの設置時のポイント

建設作業でゴンドラを利用する際、まずは設置計画を立てます。この時にポイントとなるのは次の3点です。

1.ケージ(人が乗るかご)本体の重量と積載荷重を、完全に支えられる吊り元を確保する。
2.吊り元からケージにいたる吊りワイヤロープを間違いなく取りつける。
3.作業員と通行人の安全を確保し、環境対策もしっかりと行う。

ゴンドラによる事故の多くは、作業環境についての綿密な調査をあらかじめ行うことで防止できます。調査・対策を徹底しましょう。

ゴンドラの作業時のポイント

ゴンドラ作業を行う際に留意すべきポイントは以下の7つです。

1.ゴンドラには、積載荷重を超える荷重をかけてはいけません。
2.ゴンドラの作業床の上では、脚立やハシゴなどを使ってはいけません。
3.ゴンドラの操作を行う人は、ゴンドラの使用中は、その操作位置から離れてはいけません。
4.ゴンドラの作業者は必ず、安全帯や命綱、保護帽を使用しましょう。
5.ゴンドラ作業を行っている場所の下には、立ち入り禁止措置を講じなければなりません。
6.強風や大雨、大雪などの悪天候時には、作業を行ってはいけません。
7.安全な作業のため、作業場所には必要な照度(明るさ)を保たなければなりません。

なお、ここでの「悪天候」とは、強風は「10分間の平均風速が毎秒10メートル以上」、大雨は「一降りの降雨量が50ミリメートル以上」、大雪は「一降りの積雪量が25センチメートル以上」を指します。

参考:ゴンドラ安全規則|e-Gov法令検索

あとがき

今回は、建設業で活用されているゴンドラに焦点を当て、概要や種類、安全確保のポイントなどについてお伝えしてきました。

建設作業において、ゴンドラは足場として使用されます。枠組み足場などと比べると設置費用を安く抑えられ、設置・解体にかかる労力も最小限にすることが可能です。また、建設作業の対象となる建築物をシートで覆わずに済むため、日光・風通し・防犯面での居住環境の質も保たれます。

しかし、安全に対する意識を怠ってしまえば、ゴンドラの落下などの重大な事故を引き起こす可能性もあります。事前の調査をしっかりと実施し、決められたルールの遵守が欠かせません。工期に追われて天候の悪い中にゴンドラ作業を行ったりすることのないよう、無理のない安全な業務遂行を心がけましょう。

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