C'Lab

あなたはいくつ知っていますか?イヌ、ネコ、サル…建設現場に登場する動物たちをご紹介

建築コラム

3
一輪車と猫の影絵

建設現場で飛び交う、数多くの専門用語。特に興味深いのが、イヌやネコなど、動物にまつわる言葉です。

この記事では、ふだん現場で何気なく使われている、動物たちに由来する建設関係の用語をいくつかご紹介していきます。

あなたが使ったことのある言葉は、いくつありますか?

建設現場のイヌ

まずは、建設現場に登場するイヌを2種類ご紹介します。

犬釘(いぬくぎ)

建設現場で活躍するイヌと言えば、「犬釘(いぬくぎ)」のこと。

これは、電車の枕木にレールを固定するときに使う釘のことです。イヌの顔の形に似ていることから、このように呼ばれています。

鉄道マニアの間では人気のある「犬釘」。そのため、使い古され素性の知れた「犬釘」は、インターネット上で取引がおこなわれています。

犬走り(いぬばしり)

つづいてお伝えするのは「犬走り(いぬばしり)」です。

「犬走り」という言葉は、「犬が通れるほどしかない空間」という意味を持っています。これが転じて、建物の周囲に40~60センチほどの幅でめぐらす、通路上の床のことを「犬走り」と呼びます。この部分は、周囲の地盤よりも一段高くするのがふつうです。

「犬走り」は、建物が泥の跳ねかえりなどで汚れるのを防止するために設けられます。建物との調和性を考慮して、砂利敷きやレンガ敷き、タイル、モルタル塗りなどが選ばれています。

建設現場のネコ

建設現場に生息するネコについても見ていきましょう。

猫(ねこ)

車輪がひとつの手押し車のことを一輪車といいますが、これを別名「猫(ねこ)」または「猫車(ねこぐるま)」と呼びます。砂利などの建築資材を載せて運んだり、清掃などで出た廃棄物を運んだりするのに使いますよね。

由来には諸説あります。ネコのように狭いところにもスルリと入ることができることから、またはネコのようにゴロゴロとした音を立てることから、もしくは裏返した様子がネコの丸まっている姿に似ていることからなど、さまざまなことが言われています。

古くは江戸時代にも、「猫」と呼ばれた木製の配達用手押し車があったそうです。

キャットウォーク

点検や補修作業、建設時などに使われる、高所用の狭い通路や足場のことを、「キャットウォーク」と呼びます。建設現場の他にも、体育館や劇場の舞台、鉄道車両にも設けられます。

細い通り道や高いところが大好きなネコの歩くさまが、目に浮かぶようですね。

建設現場のサル

サルも建設の現場に数多く出てきます。

猿(さる)

まず「猿(さる)」とは、日本の木製の戸や、古い建物で金属の建具の施錠をするために使われた、細い木の総称です。設けられた場所によって、「上げ猿(あげざる)」「下げ猿(さげざる)」「縦猿(たてざる)」「横猿(よこざる)」「落とし猿(おとしざる)」などと呼ばれています。

猿頬天井(さるぼうてんじょう)

また、「猿頬天井(さるぼおてんじょう)」と呼ばれる天井もあります。これは、猿の頬に似た竿縁(さおぶち)を使った天井のことで、ふつうの竿縁天井よりも上等なものです。

猿の頬のようなこの竿縁自体は「猿頬縁(さるぼおぶち)」、またこの竿縁のななめの面取りは「猿頬面(さるぼおめん)」と呼ばれています。

猿梯子(さるはしご)

建設の道具にもサルが。「猿梯子(さるはしご)」という、2本のタテ棒に足がかりのヨコ棒を一定間隔で組み込んでいるはしごです。

「猿が上り下りするような梯子」という意味から、この名で呼ばれています。

モンキーレンチ

また、英語読みにはなってしまいますが、ボルトやナットを締めたり緩めたりする工具「モンキーレンチ」にも、サルがふくまれています。

口径部をさまざまなサイズに調節できるので、回したいボルトやナットのサイズに合うレンチが手元にないときや、平行な面が2つある部品(L形コネクタなど)を回すときにとても便利な工具です。

建設現場のウマ

建設現場のウマにはどんなものがあるのでしょうか。

馬(うま)

「馬(うま)」は、作業台や作業足場のことを指しています。

この上に木材を置いて鉋(かんな)をかけたり、2台を並列に置いて木材・鉄筋の加工をおこなったり、足場板を掛けわたして低い位置の作業用の足場として使用したり、その使い道はさまざまです。

馬乗り目地(うまのりめじ)

レンガやタイルの積み方や貼り方にもウマが登場します。「馬乗り目地(うまのりめじ)」もしくは「馬目地(うまめじ)」「破れ目地(やぶれめじ)」とも呼ばれている方法です。

縦か横方向にレンガなどを半分ずつずらして貼る貼り方のことで、人が馬にまたがった形に目地の様子が似ていることから、このような呼び方が生まれたようです。

建設現場のトラ

最後にお届けする動物はトラです。

虎ロープ(とらろーぷ)

建設現場でよく見かける黄色と黒のシマ模様のロープは、「虎ロープ(とらろーぷ)」と呼ばれています。

トラの模様と同じであることからこの名前がついたとする意見もあれば、引っ張ることを意味する英語「トラクション(traction)」が語源だとする意見も存在しています。

目で見て確認しやすい配色である黄色と黒。「虎ロープ」の他にも、電柱に反射板として黄色と黒のシマ模様で設置されているなど、注意を喚起する場面でよく使われている取り合わせです。

虎綱(とらづな)

「虎綱(とらづな)」とは、仮設物の倒壊を防止するために設けるものです。「控え綱(ひかえづな)」ともいいます。

自立できない塔状のものを支えるために、頭部から四方八方へ張ったロープのことを指します。ふつう、この「虎綱」の端の部分は、強く固定されたものに縛りつけられますが、この縛りつけたところを「虎尻(とらじり)」と呼びます。

あとがき

今回ご紹介した建設現場に登場する動物たちの中で、あなたが使ったことのあるものはありましたか?

専門用語と聞くととっつきにくいイメージがありますが、イヌやネコなどの身近な動物にまつわるものだと思うと、不思議と親しみを感じますよね。

この記事でご紹介した5つの動物の他にも、魚や鳥、昆虫の名前を由来にした建設業界用語もたくさんあるので、現場で注目してみてはいかがでしょうか。