C'Lab

建設業の見積りの算出方法とは?特殊性や注意点までを分かりやすく解説

建築コラム

19
建設業の見積り

建設業の価格には変動があるため、見積りの算出には注意が必要です。

今回は、建設業の特殊な見積りの概要や算出方法、具体的な注意点を分かりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んで見積作成の参考にしてください。

建設業の見積りは特殊

他業種とは少し異なる、建設業の見積りの概要をお伝えします。

世の中の「もの」の価格の決まり方

社会のさまざまな製品を大きく分けると、「価格があまり変わらないもの」と「価格が大きく変わるもの」の2種類に大別できます。

価格があまり変わらないものは、日本中のどこで見かけても、同程度の価格での購入が可能です。
例えば、メーカー飲料やレトルト食品、スマートフォンやパソコンを思い浮かべてください。
メーカー飲料などの製品は、工場で生産管理を行い、在庫の調整をするなどして原価管理を行っています。
そのため、年間を通じて、価格に大きな変動が起こりません。

一方、野菜や魚介類といった生鮮食品などの、長期保存に適さないような製品は、季節や年間を通じて価格が大きく変わります
需要に対する供給が多ければ価格は低くなり、需要に対して供給が追いつかなくなれば価格は高くなります。
需要と供給のバランスは、まさに市場の原理です。
実は建設業の価格には、生鮮食品のような価格変動があります

建設業の見積り

建設業界の中でも、ある程度の価格相場がある場合と、そうではない場合に分かれます

例えば、軽量鉄骨住宅の場合では、建物の本体工事のうち、部材の工場製作の比率を高めることが可能です。
部材は工場で作られているので、現場では製作された部材を組み立てる最小限の作業だけ行われます。
そのため、天候による影響は比較的少なく、納期内に建物が完成します。
例に挙げた軽量鉄骨住宅の場合、建設費と人件費に大きな変動はありません。

軽量鉄骨住宅に限らず戸建て住宅や一部の共同住宅は、一定の規格のもと、必要最小限の材料で同程度の仕様での建築が可能です。
言い換えると、生産調整ができるので、一定の価格相場があると言えます。

しかし、東京スカイツリーや横浜ランドマークタワー、あべのハルカスなどの公共性を持つ建物には価格相場がありません。
公共性を有する建物はシンボル性も持っているため、それぞれの形態は唯一無二です。
建設部材の基本の価格は想定できても、現場での作業過程や工法などによって、建設にかかる価格は大きく異なります。

建設業の見積りは案件によって大きな違いが生じるのです。

建設業の見積りの算出方法

建設業における見積り算出の方法を解説します。

建設業のコストは2つ

建設業のコストは大きく分けて以下の2つです。

・材料費
・人件費

一見するとシンプルですが、建設物は一つひとつがオリジナリティを持ったものです。
住居などの同じ目的の建物であっても、建設費はそれぞれ異なります。
だからこそ、見積りの算出が大切です。

建設業の材料費・人件費の求め方

建設業の一般的な材料価格は、物価変動にあわせた刊行物によって知ることができます。
刊行物の例は以下の通りです。

・『積算資料』
・『建設物価』

上記の刊行物には、人件費(労務単価)についても職種ごとに記載されています。

なお、公共工事設計の場合に使われる人件費(労務単価)については、国土交通省のホームページでも確認が可能です。

参考:公共事業労務費調査・公共工事設計労務単価について|国土交通省

また、建設部材製作の人件費については、公表されている単価をもとに、建物の各部位ごとに何人の職人が必要なのかを積み上げて算出するのが一般的です。

相場のない建設費の場合は?

刊行物に記載されている材料や仕様と実際の状況がマッチしない場合もあります。

刊行物に記載されていない特殊部材や特注を要する部材については、各メーカーに見積りを請求した上での試算が必要です。

また、刊行物で公表された単価をそのまま使えるのは、柱や梁、床などの躯体工事までと考えておきましょう。
建具工事や内装工事の場合、仕様や形状は建物ごとに異なります。
そのため、躯体以外の工事では、各メーカーからの見積りをもとに建設費を計算する必要があるのです。

建設業で見積りを出す際の注意点

建設業で見積りを算出する際には、定期的な単価の見直しに注意しましょう。

刊行物で公表されている材料費・人件費は、毎月見直されています。
とりわけ人件費については、職人の過不足によって価格が大きく変動するため入念な確認が必要です。

例えば、数年前に算出した見積りで工事に臨んでしまうと、建設費は現在の水準にあっていないという事態が起こってしまいます。

あとがき

この記事では、特殊性のある建設業の見積りについて解説してきました。

建設業の価格は案件や定期的な単価の見直しによって変動するため、常にアンテナを張っておく必要があります。
今回ご紹介した情報が、見積作成の参考になれば幸いです。

▼▼こちらの記事もおすすめです▼▼

建設業のNET価格とは?異なる2つの意味と使用例を分かりやすく説明

見積期間は法で定められていた!概要や理由、違反行為などやさしく解説

19