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建設業の保険6種類をやさしく解説!リスクに合ったベストな保険とは?

建築コラム

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建設業向け保険の種類

建設現場では、予想していなかったトラブルが起こることがあります。
想定外の損害に備えるために有用なのが保険です。

今回は、建設会社が備えておくべきリスクと、リスクに応じた保険の種類について分かりやすく説明します。
また、建設業向け保険選びのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

建設業で対策しておくべき3つのリスク

現場で起こる可能性のあるトラブルには、万全に対策しておく必要があります。
建設業で備えておくべきリスクは、大きく分けて以下の3つです。

リスク1. 現場の「モノ」に対する損害
建築作業中の建物や現場の機材・資材など、「モノ」が損害を受けるリスク。
リスク2. 工事による他人への損害
工事の実施中に、近隣住民の身体や「モノ」に損害を与えてしまうリスク。 作業中の事故以外にも、資材置き場の崩壊によって通行人がケガを負うなどのリスクもある。
リスク3. 従業員・作業員の労災
作業中の事故により、自社の従業員やアルバイトの方がケガをしたり亡くなったりしてしまうリスク。

どれだけ実績のある建設業者でも、「自社に限って事故やトラブルなんて起こるわけがない」という認識は現実的ではありません。
そのため、万一のリスクに備えて保険に加入しておくと安心です。

建設業の保険6種類をリスク別に解説!

ここでは、もしもの時に対応できるよう加入しておきたい建設業の保険を、3つのリスクごとに詳しく解説します。

現場の「モノ」に対する損害に備える保険

現場の備品や建設中の建物など、「モノ」への損害に備える保険は以下の3種類です。

・建設工事保険
・組立保険
・土木工事保険

建設工事保険

建設工事保険とは、現場で発生した突然の事故や火災により、建築中の建物や設備に与えてしまった損害をカバーできる保険です。

保険会社から支払われる保険金は、事故発生前の状態に戻すために必要な費用です。
また、事故後の乱れた現場を片づけるためにかかる費用を補償する「残存物片付け費用保険金」や、臨時にかかった費用の補償「臨時費用保険金」の受け取りが可能です。

契約の主な形態には、1つの工事だけを補償する「スポット契約」と、1年間の全工事を補償する「年間契約」があります。

ただし、以下の工事は補償の対象になりません。

【補償対象外の工事】
・建物の解体や撤去の作業、機械の分解や組立作業
・道路や上下水道、土木構造物の建設作業
・船舶や橋などにかかわる作業

ほかにも、工事の実施場所や建物の構造などにより補償内容が異なるため、詳しくは保険会社への問い合わせをおすすめします。

組立保険

組立保険とは、建物を除いた複雑な構造の機械や設備を、組み立てている間に発生した事故の損害をカバーする保険です。
例えば、冷暖房設備や配管設備、タンクやプラントなどの組立作業が挙げられます。

保険会社から支払われる保険金は、組立工事中の機械や設備、資材や足場などの損害費用です。
ほかにも、現場倉庫に保管している材料や備品も補償対象となります。

ただし、以下の内容は組立保険補償の対象外です。

【補償対象外の内容】
・自動車や船舶など移動のための用具や機械
・設計図書や帳簿などの書類関係
・原料や燃料、溶剤や潤滑油

組立保険の加入前には、補償対象について十分に確認してください。

土木工事保険

土木工事保険とは、道路舗装や地面掘削、トンネル工事などの土木工事中に起きた事故で、現場施設や設備などに損害を受けた場合に補償される保険です。

例えば、以下のようなケースで保険金を受け取れます。

・土砂崩れによる損害
・突発的な天災による損害
・火災や爆発による損害
・工事中に発生した盗難事件による損害
・航空機の落下や船舶の衝突などの事故による損害

ただし、工事関係者の法令違反や故意の行為は保険金支払いの対象外です。
また、本来であれば防止できたであろう注意不足による重大過失の場合も、保険金は支払われません。

工事による他人への損害に備える保険

工事中に、近隣住民などの身体や所有物に損害を与えてしまった場合に備える保険は、以下の2種類です。

・請負業者賠償責任保険
・PL保険(生産物賠償責任保険)

請負業者賠償責任保険

請負業者賠償責任保険とは、作業時に起こった対人・対物事故の賠償責任をカバーする保険です。

建設業では、工事のために使用・所有・管理している施設が原因となり、近隣住民などの他人の身体に危害を加えてしまうことがあります。
また、他人の財物(金銭や品物)に損害を与えてしまう場合もあるでしょう。
そのような場合、建設会社は損害賠償責任を負わなければなりません。

保険会社から支払われる内容を以下に挙げます。

【損害賠償金】
被害者に支払う治療費や修理費

【損害防止費用】
事故やトラブルが今後拡大しないようにするために必要とされる費用

【権利保全行使費用】
権利の保全や行使のために要する手続きにかかる費用

【緊急措置費用】
事故発生時の応急措置を行った場合にかかる費用

【協力費用】
事故やトラブル発生の際、解決に向けて保険会社に協力するために支払った費用

【争訟費用】
損害賠償の訴訟費用や弁護士費用

PL保険(生産物賠償責任保険)

PL保険(生産物賠償責任保険)とは、つくった「モノ」や仕事の結果に欠陥があり、発注者などに損害を与えてしまった場合の賠償責任をカバーする保険です。

例えば、電気工事のやり方に問題があったために施設完成後に漏電が起こり、火災発生にいたった場合などは、PL保険が適用されます。

PL保険で支払われるのは以下の内容です。

【損害賠償金】
被害者の損害を賠償するために支払った費用

【訴訟費用】
工事の結果が損害の原因であるとして訴えられた場合の裁判費用や弁護士費用

従業員・作業員の労災に備える保険

作業中に発生した事故によって、従業員がケガを負ったり亡くなったりしてしまった場合に備える保険は、以下の保険です。

業務災害補償保険

業務災害補償保険とは

業務災害補償保険とは、従業員やアルバイトの方が業務中にケガを負うなどした場合の損害をカバーする保険です。
入院・通院・休業等の補償と、使用者賠償補償(会社に損害賠償請求をしてきた場合の費用補償)を組み合わせられます。

作業中のケガやトラブルなどの労災が起こった時には、公的制度として労災保険があります。
しかし近年、従業員への賠償金額は億単位に及ぶケースもありえるため、公的労災保険だけではまかないきれません。

そこで、業務災害補償保険で使用者賠償補償を付けておくことで、公的な労災保険では不足している分をカバーしてもらえます。
また、従業員の休業中の給与をある程度補償する休業補償を付けておけば、さらに安心です。

業務災害補償保険のメリット

業務災害補償保険では、政府による労災保険認定にかかわらず、すみやかな保険金の受け取りが可能です。
迅速に保険金を受け取れるため、治療費の支払いに困ることはほとんどありません。

さらに、保険料は売上高から算出するため、全額を損金として扱えます
正規の従業員はもちろん、アルバイトやパートの方も複雑な手続きは不要で補償対象に含めることが可能です。

建設業の保険を選ぶ際に気をつけたい2つのポイント

代表的な建設業向け保険を紹介してきましたが、具体的に加入する保険を選ぶ際に押さえておきたいポイントが2つあります。

補償の内容と保険料のバランス

建設業の現場は、一つひとつ実情が異なります。
建設会社はそれぞれ得意とする工種が異なるため、発生しやすい事故も同一ではありません。
また、自社が元請けなのか下請けなのかによっても、リスクの大きさや備えるべき金額が変動します。

そのため、一般の建設業者向けに用意された保険商品が、どの建設会社にもマッチするということにはならないのです。

保険商品の選択や契約の仕方を誤った場合、本当に必要な補償範囲を越えて保険料を払いすぎてしまう可能性があります。
また、わざわざ保険をかけていても、必要とする内容をカバーしてもらえないことも。
そのような事態に陥らないため、保険の補償内容と保険料のバランスはしっかりと吟味しましょう。

自社に存在するリスクの把握

自社が請け負う現場にどのようなリスクが存在し、必要とする保障がどのような内容なのかは、自社にしか分かりません。

そのため、建設会社は、現場のリスクについて詳しく認識しておく必要があります
リスクを熟知した上で、具体的な質問を保険会社に投じれば、自社の需要に適した保険を勧めてもらえるでしょう。

もし自社のリスクを把握するのが難しい場合は、一度リスクアセスメントを実施してみることをおすすめします。

関連記事:【ご注目!】リスクアセスメントの概要と6つのステップまるっと解説。

あとがき

今回は、建設会社が加入しておきたい保険の種類を詳しくお伝えしました。
多くの案件受注によって利益を向上させるとともに、リスクへの備えも万全にしておきたいところです。
この記事を参考に、ぜひ自社に適したリスクヘッジを実施してください。

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