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【完全ガイド】持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届の書き方

建築コラム

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持込機械等(電動工具/電気溶接機等)使用届の書き方ガイド

電動工具などの機械は、現場での作業をスムーズに進めてくれるので、とても重宝しますよね。
しかし、便利な半面、扱い方を誤ると大きな事故につながることもあります。

電動工具などによる事故の発生を防ぐために作成するのが、今回書き方を解説する「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」です。

労務安全書類(グリーンファイル)のひとつである「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」。
電動丸ノコや電気カンナなど、さまざまな種類の機械を現場で安全に使用するために必要となります。

書類の作成は少し面倒な作業かもしれませんが、この記事でお伝えする書き方を参考にすると、サクッと完成させることができますよ。
また、書類作成後の流れについても紹介するため、ぜひ最後までご一読ください。

持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届とは

電気工具などが複数置かれているイメージ

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」とは、建設現場で使用する機械の状態を工事着工前に点検し、その安全性を証明する書類です。

書類の提出先は?

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」を作る必要があるのは、現場で実際に機械を扱う、一次下請け以下の会社です。
書類ができあがったら、元請け会社に提出します。

書類のフォーマット(様式)は?

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の基本のフォーマット(様式)は、「全建統一参考様式第6号」です。

基本的に、A3サイズの用紙を横向きで使うか、A4サイズの用紙を両面もしくは2枚使うことになります。
ただし、用紙のサイズ等については元請け会社によって異なるため、出される指示に従いましょう。

持込機械がレンタルの場合

気をつけなければならないのは、会社で工具などの機械を保有していなくて、業者からレンタルした機械を使用するケースです。

レンタルした機械を現場に持ち込んで使う場合にも、「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」を必ず作成しましょう。
なぜなら、「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」作成の目的は、現場に持ち込む機械がすべて安全だと示すことにあるためです。

レンタルの機械を持ち込む際にも、自社の機械として書類に記入しましょう。

持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届の書き方を項目ごとに解説!

作業服姿の人物が電気工具を持っているイメージ

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の書き方について、項目ごとに具体的に解説します。
作成にあたって特別難しい点はないため、各項目を1つずつ確実にクリアしていきましょう。

なお、ここでは「全建統一参考様式第6号」を定型として説明します。
他の書式でも記入項目はほとんど同じであるため、「全建統一参考様式第6号」以外のフォーマット(様式)を使う場合でも安心してご参照ください。

欄外部分(前付け)の書き方

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」欄外部分(前付け)のイメージ

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の欄外部分(前付け)の項目を1つずつ見ていきましょう。

記入が必要な項目は下記の通りです。

・日付の記入部分
・事業所の名称
・所長名
・一次会社名
・持込会社名
・代表者名
・電話

・日付の記入部分

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」を提出する日付を記入します。
年の記入は西暦でも問題ありませんが、一般的には和暦で表記する場合が多いです。
また、書類の記入日と混同しないように注意しましょう。

・事業所の名称

工事が行われる現場の名称を記入します。
基本的には、国や地方自治体などの注文者や、元請け会社が定めた建物の名称を書きます。

例えば、「〇△新築工事」「△△作業所」「〇〇ビル改修工事」などと記入しましょう。

・所長名

元請け会社の現場代理人の氏名を記入しましょう。
一次の会社ではなく、「元請け会社の」現場代理人の氏名を書かなければならないため、混同しないように注意してください。

・一次会社名

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」を提出する一次下請け会社の名称を記入します。

・持込会社名

現場に機械を持ち込む自社の名称を記入しましょう。
なお、「( 次)」と書かれた空欄には、自社が何次の下請け業者に該当するのかを数字で書き入れます。

・代表者名

自社に所属している現場責任者(現場代理人も可)の氏名を記入します。

現場責任者(現場代理人)は、会社に代わる工事の請負業務の責任者です。
工事期間中に現場に常駐できる人物の氏名を書きましょう。
また捺印も必要となるため、忘れないように注意してください。

・電話

自社の電話番号を記入しましょう。

欄内部分の書き方

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」欄内部分のイメージ

欄内部分には持込機械の詳細をはじめとする情報を記入します。
記入が必要な項目は下記の通りです。

・機械名
・規格・性能
・管理番号・受付番号
・持込年月日・搬出予定年月日
・点検者
・取扱者
・機械の特性、その他その使用上注意すべき事項
・元請確認欄・受付確認者

各項目の書き方を説明します。

・機械名

「機械名」の項目には、持ち込む機械名(機械の商品名ではなく、機械の分類名)を記載します。

例えば、「ウインチ」や「電動丸ノコ」「電動チェーンブロック」などと記入しましょう。

なお、書類の右はじ(「持込時の点検表」の右どなり)に機械の分類名が記載されています。
機械の分類が分からない場合には参考にしてみてください。

「持込時の点検表」の右にある「機械名」のイメージ

・規格・性能

持ち込む機械の電圧や特有の規格性能を記入しましょう。

規格性能の記入例をいくつかご紹介します。

例1.ポンプ…口径と揚程(ポンプが水をくみ上げることのできる高さ)
例2.ベルトコンベア…ベルト幅と長さ
例3.ウインチや電気チェーンブロックなど…対応する重量
例4.アーク溶接…電圧と電流

大きさや性能などは機械ごとに異なるため、該当する機械の取扱説明書を確認しながら記入しましょう。

・管理番号・受付番号

上の欄の「管理番号」には、持込機械の管理番号を記入します。
なお、管理番号は自社で設定しましょう。

下の欄の「受付番号」については元請け会社側が番号を記入するため、書類の作成時は空欄のままにしておいてください。

・持込年月日・搬出予定年月日

該当機械の現場への持込年月日と、搬出の予定日を記載しましょう。
建設工事が終わるのがいつなのか分からない場合には、搬出予定日は空けたままでもかまいません。

・点検者

持込機械を点検する人物と取り扱う人物の氏名を記入しましょう。
点検者と取扱者は、同一人物でなくても問題ありません。

「点検者」として適しているのは、該当の機械に詳しい人物や機械の扱いによく慣れている人物です。
機械についての知識や技術に長けている人物を任命することで、点検の確実性を裏づけることができます。
何か特別な資格を持っている必要はありませんが、作業指揮者や作業主任者、職長といった責任者に任せるのが適切です。

・取扱者

該当の機械を取り扱う人物の氏名を記入しましょう。

もし取扱者が複数人いる場合には、全員分の氏名の記載が必要です。
なお、取扱者と点検者は同じ人物でなくてもかまいません。

・機械の特性、その他その使用上注意すべき事項

機械を安全に扱うために、元請け会社に知っておいてほしいことや、元請け会社に用意してもらいたい設備などについて書いておきます。

例えば、「100Vの機械については3芯コードリールおよび3Pコネクタ(設置極付)を用意しますので、接地極付コンセントを支給していただきますようお願いいたします」などと記入しましょう。

・元請確認欄・受付確認者

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」欄内部分の最も下の部分にあるのは、「元請確認欄」と「受付確認者」という項目です。

「元請確認欄」には、作成した書類の受付が済んだ後に、元請け会社の担当者が捺印します。

滞りなく書類受付が完了し、機械の受付番号が発行されたことを確認できたら、「受付確認者」欄に確認した年月日を記入し、自分のサインもしくは捺印をしましょう。

「持込機械の点検表」の書き方

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の「持込機械の点検表」のイメージ

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の右ページもしくは裏面にある「持込機械の点検表」の書き方を説明します。

・番号

最上部の行にあらかじめ記載されている番号(1~10)は、「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の欄内部分に記入した10台の機械を表しています。

例えば、欄内部分の1番目に「電動チェーンブロック」と記入している場合は、点検表の1番目の列に「電動チェーンブロック」を点検した証として「レ点」を書きます。

・点検事項

該当の機械についての確認すべき事項が、あらかじめ記載されています。
点検者は記載されている事項を参考にして、該当機械の点検を実施します。

問題がなければ点検事項の各欄に「レ点」を記入しましょう。
なお、確認した旨を表すマークは「レ点」以外にも「〇」や「×」など多様です。
あくまでも元請け会社の指示に従ってください。

ただし、点検事項の中でも「絶縁抵抗測定値」の項目については、点検を実施したときの測定値「MΩ(メグオーム)」を書きましょう。

・その他

現場に持ち込む機械によっては、あらかじめ記載されている点検事項だけでは安全性がチェックできないことがあります。

点検事項のみでは不足している場合には、点検表の下の部分にある「その他」と記されている空欄に、点検事項を追記して「レ点」をつけましょう。

例えばコンプレッサーを使用する場合には、「圧力スイッチ」「安全弁」「圧力計」の3つの点検事項を追加で記載してください。

持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届の作成後は?

「持込機械届受理証」のイメージ

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」を作り終えたら、元請け会社に提出します。

元請け会社に書類を提出すると発行されるのが、ステッカータイプの「持込機械届受理証」(もしくは「持込機械届済証」「持込機械受理証」など)です。
このステッカーは機械ごとに発行されるため、機械の台数と同じ枚数を受け取ります。

記入が必要なステッカーの各項目は以下の通りです。

【持込会社名】
該当する機械の所有会社の名称を記入します。個人が所有する機械である場合でも、所属会社の名称を書きましょう。

【取扱者】
該当する機械を取り扱う人物の氏名を記入しましょう。

【受付年月日】
該当機械の「持込機械届受理証」が発行された年月日を記しましょう。

【受付No.】
受付の済んだ「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」には、元請け会社が発行した機械ごとの受付番号が記載されています。
この記載内容を見ながら、該当の機械の受付番号を記入してください。

【使用期間】
該当の機械を使う期間を「R〇年〇月〇日まで」という形で記入しましょう。

【事業所名】
事業所(作業所)の名称を記入しましょう。

ステッカーの各項目に内容を記入し、該当機械の目立つところに貼りつけましょう。
これで、機械持ち込み前の準備は完了となります。

元請け会社によっては、ステッカーの発行は行わずに、機械の受付番号の発行のみが実施されることもあります。
発行されなかった場合には、自分の会社でステッカーを作成します。
裏面がシールになった「持込機械届受理証(全建統一参考様式第7号)」が、お店やインターネット上で販売されていますので、そちらを使用すると便利です。

「持込機械届受理証」は、現場へ持ち込んで使う機械が安全な状態であることを示すものです。
機械へステッカーを貼りつけるのを忘れたり紛失したりすると、作業ができなくなってしまう場合もあります。
ステッカーの取り扱いには十分に注意しましょう。

あとがき

電動工具などの機械は便利なアイテムなので、建設現場での作業には必要不可欠です。
しかし工事を順調に進めるためには、使用する機械の安全性を確保したり正しく使ったりすることが、とても大切なポイントとなります。

今回書き方を解説した「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」を提出した後も、機械の点検を定期的に実施して、現場の安全を図りつづけましょう。

「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」以外の労務安全書類(グリーンファイル)について知りたい方には、こちらもオススメです!

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