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建設作業員の離職対策に効果あり!タレントマネジメントの簡単な考え方

建築コラム

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建設 タレントマネジメント

建設作業員は若手を中心に離職率が高いと言われています。離職の理由は人によってさまざまだと思いますが、その中には「仕事内容や環境が自分に合わない」「職場の人間関係がうまくいかない」「会社が自分のことをわかってくれていない」といったものもあります。本記事では、建設作業員の満足度や生産性を上げ、さらに離職対策にもつながる新しい考え方「タレントマネジメント」について解説していきます。

タレントマネジメントの概要

タレントマネジメントとは

企業が従業員一人ひとりの適性や能力を把握し、それを活かした配置を行う人事戦略のことです。簡単に言うと、データに基づいた「適材適所」のことです。

建設業で例えるなら、建設現場に人を配置する際、建築作業員ひとりひとりの適性や能力を考慮し、各作業員をそれぞれの経験・能力に合った現場・業務に配置するイメージです。

タレントマネジメントに期待できる効果

建設作業員の配置にタレントマネジメント=適材適所の考え方を取り入れると、建設作業員ひとりひとりのパフォーマンスと現場全体の生産性が上がり、建設作業員の離職率の低下も期待できます。以下、詳しく見ていきましょう。

① パフォーマンスの向上
建設作業員個人の立場から見れば、適性のある業務では自然と業務効率が上がります。また、仕事の成果も出しやすく、「自分は現場の役に立っている」というやりがいや責任感が芽生えます。その結果、仕事が楽しくなってモチベーションが上がり、より能力を上げようと頑張るようになります。

② 生産性の向上
建設作業員ひとりひとりのレベルが上がると、その集合体である現場全体のパフォーマンスも底上げされます。また適性のある建設作業員が集まっているので連携が取りやすく、業務全体をスムーズに回すことができます。

➂離職率の低下
建設作業員が離職しがちな主な理由として、「労働時間が長い」「仕事がキツイ」「人間関係がうまく行かない」などが挙げられます。
しかし、上記①②が改善されると、建設作業員の業務に対するストレスが軽減される他、現場の雰囲気や人間関係も良くなり、さらに、長時間労働の是正にもつながります。
つまり、建設現場にタレントマネジメント=適材適所を導入することで上記のような建設作業員の離職につながる原因を解消することができます。その結果、離職率が下がり、優秀な人材が定着しやすくなります。

建設業にタレントマネジメントを導入する4つのステップ

タレントマネジメントを導入するといっても、具体的には何をすればいいのでしょうか。タレントマネジメントを効果的に導入するための4つのステップを紹介します。

①「何を変えたいか」目的を考える
まずは、各現場がどのような問題を抱え、それをどう変えていきたいのか、目的を考えます。例えば、「現場全体の業務スピードを上げたい」「離職率を下げたい」などです。

②作業員の情報収集
氏名、学歴、経歴、資格、評価制度があればその評価結果など、適切な配置を検討するのに必要な、建設作業員一人ひとりの情報を集めます。大変そうにも思えますが、従業員の情報を一括で管理できるアプリやツールなどを使うことで手間や工数を減らすことができます。

➂②の情報と現状分析に照らした配置
例えば、「現場全体の業務スピードを上げたい」のであれば、まず、どれだけの仕事を何時間(あるいは何日)で終わらせたいのか、そのためにはどのような経験・能力・適性を持った作業員が何人必要かを考えます。そして、②で情報収集したデータを使い、合致する従業員を必要な人数配置します。
「離職率を下げたい」のであれば、どのような能力・指向性の作業員がその現場および業務に向くかを考えます。そして、前項で情報収集したデータを使い、合致する従業員を配置します。また、年齢のばらつきを工夫するなど、コミュケーションの取りやすさに配慮するのも、離職率を下げるには有効です。

④結果の見直し
➂の配置の結果「現場全体の業務スピードを上げたい」「離職率を下げたい」などの目的が達成できたか、工期全体を通して確認・分析します。達成できていなければ具体的にどの程度達成できていなかったのかを元に、また①―➂の手順で次の配置の計画を立てます。例えば、現場の業務スピードが思ったほど上がらず、毎日1時間想定外の残業が生じてしまったとすると、今度はメンバーの一部をより仕事の速い人材に入れ替えるか、もしくは今のメンバーは据え置きで、もう一人人手を増やすなどを検討します。

建設業のタレントマネジメントに役立つツール

近年ではタレントマネジメントの考え方が広まってきており、それに役立つツールも数多くリリースされています。タレントマネジメントでは情報の収集・分析が要となるので、こういったツールを活用するのは効果・効率の両面から有効です。ここでは、建設現場の建設作業員配置に使いやすいものを、特にピックアップして紹介します。

タレントマネジメント専用ツール

タレントマネジメントに特化したクラウドサービスで、従業員の情報を収集・分析するだけでなく、配置のシミュレーションや結果の分析まで行うことができます。

JCC-要員配置:JCCソフト株式会社
建設系クラウドサービスを手掛けている会社のツールです。建築作業員の情報をクラウドで登録・管理し、案件ごとに適材適所な配置を行うことができます。

カオナビ:株式会社カオナビ
タレントマネジメントを本業とする会社が作った王道のタレントマネジメントシステムです。非常に高度かつ多機能で自由度が高い反面、使い方が限定されている場合には持て余してしまうかも知れません。

スキルナビ:株式会社ワン・オー・ワン
経歴情報や資格情報、意識調査や他社評価など、人材に関するあらゆるデータを一元管理可能。人材一人ひとりの能力を様々な視点から可視化できます。「誰を動かすことで、スキルバランスがどのように変わるか」をシミュレーションしたり、「どのような人材が定着しやすいのか」「どのような人材が不足しているのか」などを分析することもできます。

情報管理ツール

「配置のためだけにをツールを導入するのはちょっと」という場合は、より幅広い目的で使える情報管理ツールを使うのもおすすめです。配置や分析はできませんが、タレントマネジメントの要である情報の収集・管理をクラウド化するだけでも作業負荷は大幅に軽くなります。

OSHIIREクラウド:ALIRIO株式会社
取引先情報や協力会社の情報など、建設系の抱える事務的な情報をクラウドで一括管理できます。タレントマネジメントを目的とするツールではありませんが、作業員の情報や資格情報も登録・管理できるため、タレントマネジメントにも役立てることができます。

まとめ

本記事では建設作業員を例に解説をしてきましたが、タレントマネジメントの考え方は、施工管理など、建設業にかかわる他の職種にももちろん有効です。タレントマネジメントは生産性や離職率の低下などのお悩み解決はもちろん、建設業に今後求められる働き方改革の推進にも役立ちます。まずは仕組み作りから、始められてみてはいかがでしょうか。

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