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建設工事請負契約│契約書に貼る収入印紙とは?わからないことを全部解説

建築コラム

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請負契約 収入印紙

施主や他の建設業者との間で請負契約を締結する際、「収入印紙を貼ってください」と言われたことはありませんか?本記事では、本当に印紙がいるのか、貼り方に決まりはあるか、いくら貼ったら良いのか…など、建設工事請負契約に必要な印紙の疑問を、まとめて解説します。

収入印紙の概要

印紙とは

収入印紙とは、主に税金や国に対する手数料等を支払うための証票です。

イメージとしては、郵便料金の支払いのため、郵便物に貼る切手のようなものです。見た目も切手によく似ており、切手に50円切手や80円切手があるのと同じように、収入印紙にも納める金額によって200円印紙、1000円印紙、1万円印紙などの種類があります。契約書など民間人同士でやり取りする書類については、書類に所定の金額の印紙を貼り、書類と一緒に保管することで、税金を納めたことになります。

どこに売っているの?

収入印紙は郵便局、法務局、役所、金券ショップ、コンビニなどで購入することができます。

貼り方やルールは?

収入印紙を貼る位置に法的な決まりはありません。契約書であれば、一枚目の左上に貼るのが一般的ですが、違う位置に貼っても特に問題はありません。

収入印紙を貼った後は、切手と同じように消印をします。消印に使うのは「文書の作成者又は代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名」です(印紙税法施行令第5条)。

■個人事業主の場合…事業主の氏名が入ったハンコまたは事業主の署名
■法人の場合…社長、役員、その他従業員の氏名が入ったハンコまたは署名

消印に使うハンコの種類は問わず、いわゆるゴム印や三文判でも問題ありません。押印の代わりに署名(手書きのサイン)をすることもできます。反面、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしただけでは消印として認められません。

消印の方法にも決まりがあります。収入印紙の不正な再利用を防ぐため、収入印紙に消印をする際は、印章または署名が書類と収入印紙(ふちだけでなく模様部分まで)にまたがるようにして押します。

収入印紙を貼っていても正しい消印がなければ税金・手数料を納めたことにはならないので、注意が必要です。

印紙を貼らないとどうなる?

収入印紙の貼付を怠ることは、すなわち税金の未納になります。この場合、税務署によって、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税が徴収されます。

返金はできる?

印紙税のかからない文書に誤って収入印紙を貼ってしまった場合、収入印紙の金額を間違って貼ってしまった場合、契約の中止などにより収入印紙を貼った書類が不要になった場合などには、貼付した印紙代の返金を受けることができます。文書を作成した日等から5年以内に、税務署の窓口で還付の手続きをしてください。

建設工事を請け負う場合の印紙代

書類ごとの印紙代一覧

収入印紙の貼付が必要になるのは、法律上印紙税が課税される文書です。

国税庁では、印紙税が課税される文書を一覧にまとめ、公開しています。

印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで

この中で、建築請負契約書は第2号「請負に関する契約書」に該当します。

ここでいう「請負に関する契約書」とは当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。契約のタイトルが「委任契約」や「委託契約」など別の言葉になっていても、この要件を満たす限り印紙税法上は「請負に関する契約書」として扱われ、第2号の印紙税が課税されます。

「請負に関する契約書」の印紙税額は、契約書に記載された請負金額によって原則として次のように決まっています。

1万円未満:非課税
1万円~100万円以下:200円
100万円~200万円以下:400円
200万円~300万円以下:1,000円
300万円~500万円以下:2,000円
500万円~1,000万円以下:1万円
1,000万円~5,000万円以下:2万円
5,000万円~1億円以下: 6万円
1億円~5億円以下:10万円
5億円~10億円以下:20万円
10億円~50億円以下:40万円
50億円~:60万円
契約金額の記載のないもの:200円

一通の契約書に複数の工事と請負金額が記載されている場合には、その総額が記載金額になります。仮にA工事300万円、B工事200万円という記載がある場合、この契約書の記載金額は500万円で、印紙税は2,000円となります。

建設工事請負契約書の軽減措置

基本の印紙税は上記の通りですが、建設工事請負契約書については国の軽減措置により、印紙税が上記よりも安くなる可能性があります。

軽減措置が適用されると、建設工事請負契約書の印紙税は次のように減額されます(その契約書に記載された契約金額が100万円以下のものは、軽減措置の対象となりません)。

100万円~200万円以下:400円→200円
200万円~300万円以下:1千円→500円
300万円~500万円以下:2千円→1千円
500万円~1千万円:1万円→5千円
1千万円~5千万円以下:2万円→1万円
5千万円~1億円以下:6万円→3万円
1億円~5億円以下:10万円→6万円
5億円~10億円以下:20万円→16万円
10億円~50億円以下:40万円→32万円
50億円:60万円→48万円

軽減措置が受けられるのは、契約書が次の条件を満たす場合です。

① 建設業法第2条第1項に規定する建設工事を請け負う契約であること
※土木建築に関する工事の全般をいいますが、建物の設計、建設機械等の保守、船舶の建造又は機械等の制作若しくは修理等は含みません。
②印紙税法上の請負に関する契約であること
➂契約書の記載金額が100万円を超えること
④平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に締結された契約書であること

これらの契約書に該当するものであれば、建設請負の当初に作成される契約書のほか、工事金額の変更や工事請負内容の追加等の際に作成される変更契約書や補充契約書等についても軽減措置の対象になります。

印紙を貼るのは注文者?それとも請負人?

印紙代(印紙税)を負担するのは、文書の作成者です。

建設工事請負契約書の場合には、文書の作成者が注文者と請負人の二者存在することになります。この場合はどうなるのでしょうか。

法律上、文書の作成者が二者以上いる場合、印紙代(印紙税)は両当事者が連帯して負担します(印紙税法第3条第2項)。つまり、建築請負契約書の場合、印紙代を注文者と請負人とで折半することも、注文者または請負人のいずれかが全額負担することもできます。

ただし、当事者間で印紙代につきどのような取り決めをしたとしても、法律上はあくまでも連帯責任です。印紙の貼付がなかった場合、税務署は当事者間の取り決めに関係なく、どちらの当事者に対しても不足分の請求やペナルティを課すことができます。相手方が印紙代を負担してくれる場合であっても、最後まで確認は怠らないようにしましょう。

電子契約は非課税になるって本当?

法律で明文化されているわけではありませんが、電子契約の印紙税は非課税とする考えが有力です。

なぜなら、印紙税は文書の作成にかかる税金であるところ、印紙税法基本通達第44条は文書の作成を次のように定義しています。

第44条(作成等の意義)
1 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。(平13課消3-12、平18課消3-36改正)
2 課税文書の「作成の時」とは、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。
(1)相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時
~(中略)~
(5) 第5号文書のうち新設分割計画書 本店に備え置く時

国税庁│ 印紙税法基本通達

電子契約は、上記「用紙等」、文書の「交付」、「本店に備え置く」など要件に当てはまらないため、文書を作成したとはいえず、印紙税はかからないと考えられており、事実上もそのように運用されています。

まとめ

収入印紙は立派な税金です。納め忘れのないように注意しましょう。金額などについて疑問や不安がある場合は、国税庁または税務署の窓口で相談に乗ってもらうことができます。

国税庁相談窓口
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