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ブロックチェーンは建設業で活用できる?期待される理由やメリットは?

新技術

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建設業でブロックチェーンを活用!

仮想通貨で主に使われるテクノロジー「ブロックチェーン」ですが、実は建設業での活用に期待が高まっています。

この記事では、ブロックチェーンの特徴や欠点、建設業界で活用が期待される背景を解説します。
また、建設業にブロックチェーンを導入するメリットもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ブロックチェーンとは

簡単にまとめれば、ブロックチェーンとは、暗号技術を用いて取引履歴を過去から1本の鎖(チェーン)のようにつなげ、正しい取引きを維持する仕組みです。
ブロックチェーンの技術では、「ブロック」というデータの単位を生成し、鎖のようにデータをつなげて時系列に保管します。

ブロックチェーンの特徴

ブロックチェーンの主な特徴は以下の4点です。

改ざんが困難
ブロックチェーンは、「ハッシュ」や「電子署名」という暗号技術を使用しています。
そのため、データの改ざんが行われると簡単に検出できる仕組みとなっています。
システムダウンが発生しない
ブロックチェーンでは不特定多数の参加者が取引きを行います。
しかし、複数の参加者がすべての取引履歴のコピーを記録しているので、一部のコンピュータがダウンした場合でも、ほかの参加者は記録を保ったままです。
そのため、システム全体がダウンすることはありません。
取引記録を消せない
ブロックチェーンの複数の参加者が持っている全員の取引履歴のコピーは、削除できません。
そのため、ひとたび記録された取引記録は、証拠として消えずに残り続けます。
自律分散システム
多くの参加者によってデータを分散して保つシステムは、分散システムと呼ばれています。
従来の多くの分散システムには、システムの中心となる管理者がいました。
しかし、ブロックチェーンでは、すべての参加者が自律して取引履歴のコピーを続けていきます。
ブロックチェーンのこの仕組みを自律分散システムと呼びます。

上記のように、不正や改ざんを許さない、取引履歴を安定して保ち続ける特徴を持ったブロックチェーンは、高い信用を求められる取引きに欠かせない技術です。

ブロックチェーンの欠点

万能に思えるブロックチェーンにも、欠点はあります。

万が一、システム内に何らかのバグが生じれば、全ブロックの修正は困難で、システム全体に深刻な影響が及ぶかもしれません。

また、ほかの中央集権型システムの場合は、データチェックも集中的にできます。
しかし、ブロックチェーンではブロックごとにデータチェックを行う必要があるため、メンテナンスにかなりの時間が必要です。

それでも、信頼性の高さや導入コストが比較的安いことを考えると、ブロックチェーンは非常に魅力的な技術であると言えるでしょう。

建設業界でブロックチェーンの活用が期待される背景

建設業界では、1つの案件に多くの業者が参加します。
現場に複数の業者が出入りするのは、建設業界の特徴である「重層下請構造」が理由です。

関連記事:建設業界に入る前に知っておきたい!業界の役割と独自の構造

建設工事は案件ごとに設計や規模が異なります。
そのため、あらゆる専門工事に対応可能な人材を社内で雇用しておくよりも、基礎・内装・外構・電気などの各種工事に強い協力会社に外注するほうが合理的です。

しかし、重層下請構造であるために、建設業界には施工プロセスの不透明性施工責任の不明確性などの課題があります。
また、元請会社は発注者からの支払いを受ける前に協力会社に施工代金を支払う場合が多いので、安全性の高いキャッシュフロー管理も重要な課題です。

建設業界が抱える諸課題の解決のために、ブロックチェーンは期待されています。

例えば、大手ゼネコンの大林組は、株式会社digglueの協力のもと、コンクリート受入検査システムの検査データをブロックチェーン上に記録するシステムを開発。
建設業界でのブロックチェーン活用に向けた実証実験をスタートしています。

出典:プレスリリース|株式会社大林組

建設業にブロックチェーンを導入するメリット

建設業にブロックチェーンテクノロジーを採り入れた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、ブロックチェーン導入のメリットを詳しくお伝えします。

改ざん耐性のあるデータ管理や連携

近年の建設業界では、検査データや工事記録の改ざんといった不正が取りざたされています。
そのような建設業界の現状に対して、ブロックチェーンは、データの書き換え問題を解決する糸口となるでしょう。

例えば、ブロックチェーンを活用した場合、工事記録の原本性の保証が可能です。

建設工事では、作業の進捗や品質の記録のため、主に「写真」が使われています。
しかし、工事写真の改ざんが行われれば、品質を担保することができなくなってしまいます。

工事写真は、国交省が定める基準に沿っていることが必要です。

従来はJPEG形式の工事写真のみが認められていました。
しかし、令和2年に「デジタル写真管理情報基準」が大きく改定。

JPEG形式だけではなく、TIFF形式(複数の画像データをひもづけ、1つのファイル上で扱えるようにした保存形式)なども認められるようになりました。
また、現場の監督者が承諾すれば動画までも扱えるようになったのです。

出典:デジタル写真管理情報基準|国土交通省

要するに、単なる写真というデータに、多くの情報を加えられるようになったのと同時に、写真という形式にはとらわれない工事記録が可能となりました。
そのため、点群データや360度画像など、今後は新しい形式の工事記録が主流となっていくでしょう。

その際、改ざんのおそれのない、原本性を確保できる技術としてブロックチェーンが役立ちます。
ブロックチェーンを使えば、工事記録を後から改ざんすることは誰にもできないため、不正の防止が可能です。

スマートコントラクトによる支払いの自動化

スマートコントラクトとは、契約条件の締結・履行がプログラムによって自動的に行われるシステムです。

支払いという行為は、当事者がお互いに取引きの公正さを信頼している必要があります。
そのため、通常は支払いの自動化という概念は許容されません。

しかし、ブロックチェーンによって支払履歴が後から改ざんされないことが保証できれば、スマートコントラクトは成り立ちます。
さまざまな法令を遵守しながら、工事代金や給与の支払いを自動化できるのです。

また、支払いの自動化が広まれば、強制的に支払いが行われるため、代金不払いの問題を防げます

IoTと連携した建材などのサプライチェーン管理

ブロックチェーンを活用すると、IoT(物とインターネットをつなぎデータを集める技術)と連携した、建材などのサプライチェーン管理ができます。
サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指します。

例えば、施工に必要な建材が一定量まで減少した際、情報をIoTによって検知し、調達先の納品業者に自動発注をかければ、施工現場の生産性アップが可能です。

ただし、大量のIoT端末から膨大なデータが送信された場合、通信回線やサーバに大きな負荷がかかります。
すると、IoTシステムの長所であるリアルタイム性が損なわれ、通信が継続できないリスクが生じます。

しかし、自律分散型のシステムであるブロックチェーンを用いれば、データ通信に多くの負荷がかかりません
また、万が一トラブルが発生した場合でも簡単にはサービスが停止しない仕組みを持っているため、IoTと連携したサプライチェーン管理が実現できます。

関連記事:建設業のIoTってなに?メリットと課題点は?3つの活用事例もご紹介

あとがき

今回は建設業で活用したいブロックチェーンについてお伝えしました。
改ざんの困難さや取引履歴保持の安定性など、ブロックチェーンの持つ特徴は、IoTやスマートコントラクトと連携すると活用の幅が大きく広がります。
建設業界とブロックチェーン技術の組み合わせに、今後も目が離せません。

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